三菱重工業と三菱電機は、米Boeing(ボーイング)の中型ジェット旅客機「787」(B787)向け主翼の工程廃材を家電部品で再利用する(図1)。まず、掃除機のパイプ部分とハンドル部分の材料として利用し、今後は家電製品以外のさまざまな用途で再利用を進める予定。廃材のリサイクルを通じて「温暖化ガス排出削減とカーボンニュートラル社会の実現に貢献する」(両社)としている。

(出所:三菱重工業、三菱電機)
図1 「B787」の主翼
炭素繊維強化プラスチックを「旅客機で初めて」(三菱重工業)採用し、従来機比で20%以上の燃費向上を実現した。
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* 三菱重工業と三菱電機のニュースリリース: https://www.mhi.com/jp/news/220621.html

 三菱重工は、炭素繊維複合材でB787向け主翼を製造しており、2020年2月には1000号機目の出荷を発表している。リサイクル材に使うのは、同主翼の製造工程で発生する廃材だ。三菱電機のコードレス掃除機「iNSTICK ZUBAQ」シリーズの新製品のパイプ部分とハンドル部分に適用する(図2)。

(出所:三菱重工業、三菱電機)
図2 コードレス掃除機「iNSTICK ZUBAQ」シリーズ
赤枠部にリサイクル材を採用する。
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* 2020年2月10日付、三菱重工業のニュースリリース: https://www.mhi.com/jp/news/20021002.html

 炭素繊維複合材は、軽量で高強度なため旅客機の主翼部分などへの適用が拡大する一方で、炭素繊維を製造する際に二酸化炭素を多く排出する、廃棄処理時の環境への負荷が大きいといった課題を抱える。そこで三菱重工は、炭素繊維複合材のリサイクルに向けた取り組みを推進しており、三菱電機との間でリサイクル材の有効活用に向けた協業を進めてきた。今回、三菱重工を主体に、安定してリサイクル材料を供給できるサプライチェーンを構築するとともに、「リサイクル材特有の技術的な課題」(両社)を解決できたことから、家電部品への活用を決めたという。