キャディ(東京・台東)は2022年6月22日、図面データを自動で登録でき、高度な検索ができるクラウドシステム「CADDi DRAWER」の提供を正式に開始したと発表した。同システムを「第34回設計・製造ソリューション展」(2022年6月22~24日、東京ビッグサイト)に出展し、機能のデモンストレーションなどを披露した(図1)。同社は過去の類似図面を集めて原価を分析するなどの用途で、2021年9月から同社の受発注プラットフォーム「CADDi」の一部の顧客などにベータ版を提供し、改善を図っていた。

図1 設計・製造ソリューション展に出展した「CADDi DRAWER」
図1 設計・製造ソリューション展に出展した「CADDi DRAWER」
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 CADDi DRAWERでは、図面をPDFかTIFF形式のデータで用意し、アップロードして登録する。このときにキーワードを記入したり、一定規則でファイル名を付けたりする手間がないのが特徴。図面の表題欄の文字のほか、図中文字、寸法、注記、手書きのメモも含めて文字をシステムが自動認識し、データベースに登録する(図2)。「手書き文字でも、人間が読める状態ならほぼ全部認識できる」(キャディ)という。

図2 CADDi DRAWERの画面
図2 CADDi DRAWERの画面
画面右端の「発注先」「図番」などの文字は自動で認識したもの。「手書きのメモも認識できる」(キャディ)。(キャディによる展示画面を日経クロステックが撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 検索時にはこれらの文字に加え、図形の特徴も認識し、類似図面を選び出す。最近の人工知能(AI)による図面解析技術や類似図形検索技術などを応用し、受発注プラットフォーム事業での自動見積もりシステムで培った技術を生かして開発した。

 これまでのベータ版の提供で、顧客の担当窓口になったのは「主には調達部門と設計部門で、どちらかと言えば調達部門が多い」(同社)。過去の部品発注時のコストを把握したい調達部門が導入を希望するケースが多く、「ついでに設計部門でも同じシステムを使う場合もある」(同社)。最近は原価企画部門が導入する場合が増えているという。

 システムの開発に当たっては、同社が製造業の設計・調達担当者700人を対象に実施した「図面活用の実態調査」の結果を活用。それによれば、図面を探す時間は1人1カ月当たり約10時間になり、従業員600人の中堅企業モデルで年間1.5億円の人件費がかかっている。

 利用のための費用は、図面枚数と利用人数に応じて数十万円から数百万円の範囲になる。「億円単位のコストを削減できれば十分見合う、として受け入れてもらっているようだ」(同社)。いわゆるPDM(製品データ管理)システムに比べると、CADとの連動機能や設計過程を管理するワークフロー機能、製品構成管理機能などはなく、図面検索に特化した仕様になっている。

 ただし既存のPDMなどでは、過去図面の登録時にキーワード入力をはじめとした多くの手間がかかるが、CADDi DRAWERはAIの活用などにより、図面データのアップロードだけで済むようにした。紙図面はいったんデータ化する必要があり「場合によってキャディでの代行も可能だが、デジタルデータ化の専門サービスを利用してもらってもよい」としている。

■修正履歴
掲載当初、利用費用として具体的な金額を記載しましたが、キャディから「費用は図面枚数と利用人数に応じて変わる体系になっていて正確な値ではなかった」との申し入れがあり、金額の表記を変更しました。[2022/06/24 17:20]