独立系調査会社の英Opensignalは2022年6月22日(現地時間)、最新の世界5G体験ベンチマーク調査リポートを発表した。今回は、ブルガリアが下り速度など6部門で世界トップ15入りを果たし、マレーシアも3つの速度部門とゲーム体験でランキング入りを果たしている。また、プエルトリコが今回初めて5G可用性や5G到達度でトップに立っている。以下はその概要となる。
関連リポート: Benchmarking the Global 5G Experience — June 2022下り速度ランキングは韓国がトップを維持
5G下り速度では、韓国が2022年3月の前回調査に続きトップとなった。なお、前回、平均5Gダウンロード速度が300Mビット/秒を超える市場は、韓国、スウェーデン、アラブ首長国連邦(UAE)の3市場のみだったが、今回は、ブルガリア、ノルウェー、マレーシアも加わった。シンガポールは周波数が不足しているにもかかわらず11位に入っている。
ピーク時5G下り速度では、台湾が922.5Mビット/秒でトップに立ち、ブルガリアが820.5Mビット/秒で新たにランクインしている。
5Gアップロード速度では、今回、マレーシアが50.3Mビット/秒でトップに立っているが、そのほかの市場は前回調査からあまり変化していない。なおマレーシアは、5Gサービスを開始したばかりであり、今後5Gユーザーや5G対応事業者が増えるにつれて、その性能が大きく低下する可能性もある。
スウェーデンが5G動画体験ランキングの1位に躍進
5G動画体験では、前回のノルウェーに代わってスウェーデンがトップに立った。この分野では、欧州から11市場がランクインしている。
5Gゲーム体験では、韓国が2位のシンガポールに4ポイント以上の差をつけてトップに立っている。また、ここでもマレーシアが今回15位にランクインしている。
5G音声体験では、1位チェコ、2位韓国と、前回と順位が入れ替わっている。また、シンガポールとインドネシアが今回新しくランクインした。インドネシアは3位でスコアが83.2と上位2市場に限りなく近づいてきている。
4Gと5Gの性能比較ランキング
4G利用時と5G利用時の平均下り速度を比較した結果では、マレーシアが25.7倍と圧倒的な数字で1位となっている。ただし、前述のように、今後、マレーシアの5G導入が進めば、この数字は下がっていくことが予想される。前回1位のチリは、今回もマレーシアに次ぐ2位となっており、その後を前回2位のフィリピンが追いかけている。
4Gと5Gの動画体験比較では、フィリピンが改善率79%で1位となっており、その後、マレーシアの73%、チリとタイの64%、インドネシアの61%となっている。なお、前回調査では1位のフィリピンでも33%だったこの値が、今回は15位の台湾でも34%となっており、5Gでの動画体験はますます向上していることがうかがえる。
5G可用性と到達度ランキング
5Gサービスの広がりについては、市場規模やその地域の特徴なども考慮に入れる必要がある。米国やサウジアラビア、フランスなど、広大な田園地帯や荒野を含む大規模市場では、都市部が多い小規模な国に比べて5G展開が難しい。
そうした中で今回は、プエルトリコが5G可用性と到達度でトップに立った。この理由としては、事業者が低周波数帯を利用して広域への5Gサービスを提供していることが挙げられる。米国でも5G可用性25.2%、5G到達度10ポイント中6ポイントを達成。ユーザーは4分の1以上の時間をアクティブな5G接続に費やし、3分の2に近い場所で5G信号を得られていることを示している。
なお、スイスは5G到達度ではランクインしているものの、5G可用性ではランク外となっている。これは、スイスの5G電力レベルが低く、屋内での5G利用に影響を与えているためと考えられる。