ロームは、電圧検出器ICの新製品(図1)を発売した ニュースリリース 。機能安全への準拠が求められる車載機器や産業機器などに向ける。具体的な応用先は、車載ECU(Engine Control Unit)や電気自動車(EV)/ハイブリッド車(HEV)向けインバーター、カーナビ、FA機器、計測器などである。
新製品の特徴は、最大動作電圧が+40Vと高いこと(図2)。競合他社品は、最大+36Vだった。「車載ECUに電力を供給する車載バッテリーの出力電圧は、オルタネーターの影響でピーク値が+36Vを超えることがある。このため、競合他社品では対処できないケースがあった」(同社)。
このほか新製品には2つの特徴がある。1つは、電圧検出誤差が−40〜+125℃の全動作温度範囲にわたって±0.75%と小さいこと。「現在、市場で入手できる最小誤差品と同じ値まで低減した。誤差が小さければ、段階的な電圧変動に対してリセットをギリギリまでかけないですむ」(同社)。
もう1つは、消費電流が500nA(標準値)と少ないこと(図3)。「機能や誤差が同等の競合他社品と比較すると消費電流は1/16と少ない」(同社)。同社の低消費電流技術「Nano Energy」を適用することで消費電流を削減した。Nano Energy技術は複数の要素技術から構成されており、今回は基準電圧源の低消費電流化を適用したとする。
新製品の型番は「BD48HW0G-C」。過電圧と低電圧(減電圧)の両方を検出するウインドーウタイプで、それらを検出した際にはリセット信号を出力する。このため同社は「ウィンドウ・リセットIC」と呼ぶ。動作電圧範囲は+1.8〜40V。過電圧と低電圧の検出値はどちらも、外付け抵抗を使ってユーザーが設定できる。パッケージは、外形寸法が2.9mm×2.8mm×1.25mmの6端子SSOPである。
車載半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠する。すでにサンプル出荷を始めている。サンプル価格は330円(税込み)。量産は22年10月に、100万個/月の規模で開始する予定である。