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 独立系調査会社の英Opensignalは2022年6月23日(現地時間)、多くの乗客が利用する米国25カ所の空港を対象にした5G体験リポートを発表した。今回の調査では、米国の空港での下り速度が全米平均より速く、動画ストリーミング体験スコアも高いことを確認した。ただし、5G使用時の全米平均からの差異は小さく、端末がつながらない時間の多いことも報告している。なお、5Gについては米AT&Tと米Verizonが、米国の空港付近でのCバンドを使ったインフラ配備を2023年7月まで延期する決定を発表している。

関連リポート: Despite interference concerns, 5G already offers a better user experience at the busiest US airports

下り速度と動画ストリーミング体験を比較

 25空港での平均下り速度は51Mビット/秒で、全米平均よりも32%高速となった。ただし、5G利用時の性能では、全米平均で3.1倍の速度改善が見られたものの、空港での5G利用時改善度は2.5倍にとどまっている。

 空港での5G時平均下り速度は129.1Mビット/秒で、全国平均の119.8Mビット/秒よりやや高い。郊外や農村地域を含む全国平均と比べて、空港での5G下り速度がそれほど高速化していない原因としては、やはり、航空機器への干渉の可能性に配慮して、通信事業者が空港付近でのCバンド配備を行っていないことが考えられる。

 空港で長時間過ごす乗客にとって重要となる動画ストリーミング体験については、空港でのスコアが、全国平均よりも2.5ポイント高い。ただし、5G使用時の差異はわずか0.3ポイントで、空港での優位性はそれほど高くない。

下り速度と動画ストリーミング体験における米国25空港と全米平均比較
下り速度と動画ストリーミング体験における米国25空港と全米平均比較
調査期間は2022年3月1日~2022年5月29日(画像:Opensignal)
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25空港での5Gと移動通信ネットワーク全体での下り速度比較

 各空港の平均下り速度比較では、LaGuardia、Salt Lake City、Tampaの3空港で平均下り速度70Mビット/秒を超えた。

 5G接続時の下り速度では、大多数の空港で平均下り速度が2~3倍高速化し、Chicago O'Hare空港では3.3倍、Seattle-Tahoma、Los Angeles、Salt Lake Cityの3空港で約3倍の改善が見られている。

米国25空港における5Gと移動通信ネットワーク全体での下り速度比較
米国25空港における5Gと移動通信ネットワーク全体での下り速度比較
調査期間は2022年3月1日~2022年5月29日(画像:Opensignal)
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5G可用性と無信号時間を比較

 空港利用者が5Gサービスに接続可能な時間は全体の3分の1を超える34.8%となっており、全米平均の25.2%(全体の4分の1)より高い。

 一方、信号が届かない時間については、全米平均0.9%に比べ、空港では5.7%と、約6.5倍の格差があった。これには、敷地面積が広いこと、人里離れていること、信号が届きにくい建物の壁などが多いことが原因として挙げられる。分散アンテナシステム(Distributed Antenna Systems、DAS)などを導入することで、比較的低い電力レベルでの屋内カバレッジ改善が可能となる。

5G可用性と無信号時間に関する米国25空港と全米平均比較
5G可用性と無信号時間に関する米国25空港と全米平均比較
調査期間は2022年3月1日~2022年5月29日(画像:Opensignal)
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 各空港での5G可用性比較では、Miami、San Diego、LaGuardia、Fort Lauderdale-Hollywood、Phoenix Sky Harbor、Philadelphiaの6空港で高い5G可用性が確認できた。これらの空港では、39.2~42.7%の時間でアクティブな5G接続が可能となっている。

 移動通信が使用不可能な時間については、Dallas-Fort Worth空港とDenver国際空港でそれぞれ9.2%、8.7%、最下位のLaGuardia空港でも2.2%と、全米平均の0.9%を大幅に上回る結果となっている。

米国25空港における5G可用性と無信号時間
米国25空港における5G可用性と無信号時間
調査期間は2022年3月1日~2022年5月29日(画像:Opensignal)
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 高速で信頼性の高い移動通信ネットワークは、乗客だけでなく、空港や航空会社のスタッフにとっても不可欠となる。今回の調査では、5G下り速度や通信できない時間について改善の余地があることが示された。空港ビル内や屋外のデッドゾーンに、もっと5G展開できるようになれば、ユーザーの空港体験は大幅に改善されるだろう。

 また、今後、事業者がCバンドを活用した5Gサービス展開を進めることができるようになれば、5G下り速度も大幅に向上し、空港での接続性がさらに高まるはずだ。