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 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2022年6月30日、「TSC Foresight短信レポート『ものづくり分野におけるDX―デジタル成熟度の向上において大切にすべき5つの行動指針―』」を公表した。製造業分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連する論文765本を分析(図1)。さらに、全国の約50社の企業や27の公設試験研究機関にヒアリングを実施し、課題とその解決方法を事例などとともにまとめた。

図1 765本の文献のタイトルを分析した
図1 765本の文献のタイトルを分析した
キーワードの共起ネットワーク。カテゴリー分類での上位項目は「ケイパビリティー」「スマートマニュファクチャリング」「サーキュラーエコノミー」「エコシステム」「サステナビリティー」。(出所:NEDO)
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 同レポートでの分析によれば、キーワードとして「'digital transformation' industry」と設定して見つかった論文は1199本あり、これらのうち製造業との関係が浅いとみられる論文を除外し、765本について分析した。選別前の1199本の段階で、国別の本数はドイツ(154本)、米国(130本)、イタリア(117本)の順に多く、日本は35カ国中の29位(19本、同数5カ国)だった。製造業DXに関する論文は2017年ごろから出現し始め、2019年以降に急増した。

 DXを実現していく上での提言として、同レポートでは「5つの行動指針」、すなわち「(1)自己変革能力の向上」「(2)スマート生産の実現」「(3)デジタルエコシステムの活用(社外や顧客との連携)」「(4)循環型生産の実現(サーキュラーエコノミーへの対応)」「(5)持続可能な生産の実現」を示した(図2)。DXの実現には企業のデジタル技術に対する習熟度の向上が直接関係しているとして、習熟度の段階に応じた行動の指針を5項目にまとめた。

図2 デジタル成熟度と5つの行動指針
図2 デジタル成熟度と5つの行動指針
デジタル成熟度の向上に伴って企業価値が向上するとしている。提言(白抜き文字部分)は4つに見えるが、右の「成熟」段階で「循環型生産」と「持続可能な生産」の2つを併記しているため、合計は5つ。(出所:NEDO)
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 このうち(1)自己変革能力の向上はデジタル習熟度を高める入り口として、中堅・中小企業が最初になすべき取り組みとしている。具体的にはデジタルデータを業務で活用できる人材の育成と経営者の意識改革、IoT(Internet of Things)を生産設備の一部に簡単に導入できる入門キットを使った稼働状況の見える化の試行、などを例として挙げた。この段階を経てさまざまな業務のデジタル化ができれば、その先にスマート生産の実現や、循環型生産や持続可能な生産といった、DXによる企業価値の向上が視野に入ってくる、と説明している。