島津製作所は2022年6月30日、可視光による水中光無線通信装置「MC500」を発売した。緑色と青色のレーザー光を用い、最大深度3000mの水中で双方向通信を可能にする。通信速度は1~20Mbps、通信距離は最大80m。水中ドローン(ROV)に搭載すれば、母船と接続する通信ケーブルが要らなくなる。
MC500は2台1組で利用する光モデムで、送信部に半導体レーザー、受光部に光電子増倍管を用いている。イーサネット規格に準拠し、水中での大容量ファイルの送受信や動画のリアルタイム配信といった用途を想定する。「洋上風力発電や海底パイプラインといった、インフラの点検作業を効率化できる」(同社)。通信速度は、用途や環境に応じて1M、10M、20Mbpsの3段階で切り替えられる。
2台のうち、片方の送信部に緑色レーザー、もう片方の送信部に青色レーザーを採用することで、全二重通信を実現した。通信の際は、2台の送信部と受光部を向かい合わせる。受光部に約40度の視野角を設けており、その範囲にお互いのレーザー光が届くよう、水中ドローンを位置決めする。
同社は2020年にMC500の前身となる水中光無線通信装置「MC100」を発売していた。MC500では従来よりも半導体レーザーの出力を増やし、MC100で10mだった通信距離を最大80m(通信速度1Mbpsの場合)に伸ばした。一方、MC100では95Mbpsだった通信速度は、MC500では最大20Mbps(通信距離は50m)にとどまる。MC500は中距離通信向け、MC100は短距離通信向けとの位置付けだ。価格は3000万円(税別)。発売後1年間で5セットの販売目標を掲げる。