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 日本製鉄は、リサイクル原料であるチタン(Ti)スクラップの配合率を50%以上に高めたTi素材「TranTixxii-Eco(トランティクシーエコ)」を開発したと、2022年6月30日に発表した(図1)。同社従来品「TranTixxii」における同配合率は明かさないが、従来はTiスクラップの成分やサイズなどに制約があり、配合できる量が限られていた。

 一般に、Ti素材の製造では、原料鉱石である酸化Ti(TiO2)からバージン原料(スポンジTi)を得る製錬工程において大量の電力を使うため、同工程での二酸化炭素(CO2)排出量も多い。「(製造工程における排出量の)大半を占める」(同社)という。Tiスクラップの配合率を半分以上に高めた新製品は、スポンジTiの量が少ない分だけCO2排出量を抑えた環境配慮型素材と言える。

図1 「TranTixxii-Eco」のインゴット
図1 「TranTixxii-Eco」のインゴット
(写真:日本製鉄)
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 Ti素材(Tiコイル)は、「製錬」「インゴット溶解」「スラブ鍛造」「熱間圧延」「薄板製造」といった工程を経て製造する(図2)。新たな製品では、Tiスクラップを溶かすインゴット溶解工程において、原料溶解の仕方を工夫して、Tiスクラップの配合率を高めた。

 具体的には、Tiスクラップの溶解に日鉄直江津チタン(新潟県上越市)の電子ビーム式溶解炉(EB炉)を活用した(図3)。このEB炉は、「一般的なEB炉と比べて原料を投入しやすい構造になっている」(日本製鉄チタン技術部チタン商品技術室自動車・建材課長の山口博幸氏)。溶解炉に投入するTiスクラップとバージン原料の配置や、電子ビームの照射パターンを工夫して、Tiスクラップの配合率を高めつつバージン素材と遜色ない品質を実現したという。

図2 Tiコイルの製造工程
図2 Tiコイルの製造工程
TranTixxii-Ecoではインゴット溶解工程でTiスクラップを50%以上配合している。(出所:日本製鉄の資料を基に日経クロステックが作成)
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図3 電子ビーム式溶解炉の概要図
図3 電子ビーム式溶解炉の概要図
均質なインゴットを造るため、Tiスクラップとバージン原料の配置や、電子ビームの照射パターンを工夫した。(出所:日本製鉄)
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 価格は、バージン素材やTiスクラップの配合率が低い従来品と比べると高くなる。これは、「Tiスクラップの厳格な品種の区分管理(分別回収)と、洗浄にコストがかかる」(同社)ためだ。ただし、具体的な価格は明かさない。

 日本製鉄は、アウトドア用品を製造・販売するスノーピークへのTranTixxii-Ecoの供給を2022年6月から開始した。「飲料を入れるボトルやマグカップなどに採用される見込み」(同社チタン事業部チタン営業部自動車・建材室長の小佐々嘉宏氏)と話す。今後日本製鉄は、「できるだけ早い時期に」(同社)年間300tの生産体制の構築を目指す。