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 韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は、GAA(Gate All Around)トランジスタの3nm世代プロセス「3GAE」での量産を始めたと(図1)、2022年6月30日(現地時間)に発表した ニュースリリース 。同社は21年10月7日にオンライン開催したSamsung Foundry Forum 2021において、3GAEでの量産を2022年上期に開始すると宣言しており*、上期の最終日である6月30日に発表を行ったとみられる。

図1 GAAトランジスタを使う3nm世代プロセスで造ったウエハーを披露
図1 GAAトランジスタを使う3nm世代プロセスで造ったウエハーを披露
(出所:Samsung Electronics)
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 Samsungは自社のGAAトランジスタを「MBCFET:Multi-Bridge-Channel FET」と名付けている(図2)。このGAAトランジスタはナノシートを利用してチャネルを構成。ナノワイヤを利用してチャネルを構築するGAAトランジスタに比べて、チャネル幅を広くできるため、高性能化と高効率化が可能だとする。

図2 トランジスタ構造の違い
図2 トランジスタ構造の違い
左から平面FETプロセス、FinFETプロセス、ナノワイヤを使うGAAトランジスタプロセス、ナノシートを使うGAAトランジスタプロセス。SamsungのGAAトランジスタは右端であり、同社は「MBCFET:Multi-Bridge-Channel FET」と呼ぶ(出所:Samsung Electronics)
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 今回、量産開始が発表された3GAEは、3nm GAAトランジスタの第1世代プロセスである。5nm世代プロセスと比較して消費電力を最大45%削減し、性能を23%向上、チップ面積を16%削減できるという。2023年に投入予定とされる3nm GAAトランジスタの第2世代プロセス「3GAP」では、5nm世代プロセスと比較して消費電力を最大50%削減、性能を30%向上させ、チップ面積を35%削減できるとする。

 Samsungは3nm世代のGAAプロセスで造るチップの設計に向けて、「SAFE:Samsung Advanced Foundry Ecosystem」と呼ぶエコシステムパートナーと協業し、2021年第3四半期から設計環境を提供している。このパートナーとして、今回の発表では、米Ansys(アンシス)、米Cadence Design Systems(ケイデンス・デザイン・システムズ)、米Siemens EDA(シーメンスEDA)、米Synopsys(シノプシス)が紹介された。