米国の電池関連のベンチャーであるEnpower Greentech(エンパワーグリーンテック)は米国時間の2022年7月7日、容量が100Ah級のリチウム(Li)金属電池(LMB)を開発したと発表した。セルの重量エネルギー密度は479Wh/kg、体積エネルギー密度は910Wh/Lで、共にLi系の2次電池として世界最高水準である。電解液には独自開発の難燃性材料を用いており、安全性も確保したとする。

今回開発した100Ah級のLMBのセル
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今回開発した100Ah級のLMBのセル
(写真:Enpower Japan)

 今回の100Ah級のLMBは放電容量が0.1C放電時で102.4Ah。一方、重量が821gで同容量の電池としては非常に軽い。

自己放電率が低い

 Enpowerはこの電池のもう1つの特徴として、自己放電率の低さを上げる。同社によれば、充電状態(SOC:State of Charge)が30%の場合の自己放電に伴う起電力の低下速度は約2.0μV/hで、既存のLiイオン2次電池のおよそ1/10であるとする。

充放電の測定値(左)と自己放電の様子
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充放電の測定値(左)と自己放電の様子
右のグラフの横軸は保管時間(日)。2日め~6日めの間の平均電圧低下率がちょうど2μV/hになる。左のグラフでは、横軸の目盛りが70Ah超付近(放電時は満充電容量102.4Ahに対する放電済みの容量。SOCとしては約30%)に相当する(図:Enpower Japan)