東芝デジタルソリューションズ(川崎市、以下TDSL)と風力発電用タワー大手のスペイン・GRI Renewable Industries(GRIリニューアブルインダストリーズ、以下GRI)は、画像用人工知能(AI)を利用した外観検査の実証実験に成功した。GRIのセビリア工場において、タワーの外観不良と溶接部の形状不良を高精度に検出できたという。検査の自動化により、作業効率の向上と検査品質の平準化が見込める。

TDSLのニュースリリース

 検査対象のタワーは、風力発電設備を支える直径3〜15mの構造物。TDSLと東芝の生産技術センターが持つ画像用AI技術と、TDSL・東芝が設計してGRIが製作した検査装置を組み合わせた、3D検査システムを導入した。AIは、良品画像のばらつきから良品として許容されるしきい値を統計的に学習し、そこから逸脱したものを不良品と判定する方式の自動検査パッケージ「Meister Apps」を採用した。

風力発電用タワー(写真:TDSL)
風力発電用タワー(写真:TDSL)
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実証実験のために設計・製作した検査装置(写真:TDSL)
実証実験のために設計・製作した検査装置(写真:TDSL)
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 実証実験では、カメラと3D検査システムで外観不良と溶接部の形状不良を自動で検査するとともに、不良位置を検出・記録。精度評価用に設けた傷や約2.5mmの凹みなどの外観不良を100%検出した。さらに、溶接の角度や幅を計測してアンダーカットやスパッターなどの不良を検出する形状検査も実施し、同じく精度評価用に設けた「製品品質において重要な溶接不良」(TDSL)を漏れなく検出した。現状では、人が目視でこうした検査を実施している。

AIによる外観品質検査(出所:TDSL)
AIによる外観品質検査(出所:TDSL)
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AIによる溶接品質検査(出所:TDSL)
AIによる溶接品質検査(出所:TDSL)
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 今後、TDSLはGRIのセビリア工場で実証実験を続けるとともに、GRIの株主である三井物産とも連携しながら他工場への展開を目指す。