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 ソフトバンクと森林総合研究所は2022年6月末、米Boston Dynamicsが開発する4脚歩行ロボット「Spot(スポット)」を用いた造林地での実証実験を開始した。急傾斜地や電波が届きにくい造林地でロボットが担える作業を検証する。「複数台のロボット協調作業のシステム開発にも取り組む」とソフトバンク CSR本部 地域CSR企画室 室長の安東幸治氏は語った()。

図 実証実験で使う米Boston DynamicsのSpotは、25度程度の斜面でも荷物を運搬できる
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図 実証実験で使う米Boston DynamicsのSpotは、25度程度の斜面でも荷物を運搬できる
写真は記者向けに開催したデモンストレーションの様子。当日は日差しが強く、Spotが熱の影響で稼働停止する場面があった。こうした不具合の発生条件や状況も含めて検証を進めていくという(写真:日経クロステック)

 林業では、担い手の高齢化と後継者の不足により、事業継続が困難になりつつある。ソフトバンクと森林研究・整備機構 森林総合研究所はこの課題を解決するため、Spotのようなロボット活用の早期実現を目指す。

 Spotは自律走行可能で、傾斜25度程度の斜面であっても荷物を運搬できる。Spotのこの特長を生かし、森林の調査計測や苗木・防鹿柵などの運搬、柵の点検といった作業の実用化を見据える。そのためソフトバンクは、造林地での通信環境の改善や複数ロボットの管理システムの開発などを進める予定だ。

 まず、造林地の多くは携帯電話が届かないため、衛星通信や長距離・広範囲をカバーするWi-Fiといった複数の通信手段を用いる。さらに、「米Boston Dynamicsが提供するソフトウエア開発キット(SDK)などを使って協調制御システムを開発する」(ソフトバンクの担当者)という。