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クラボウ寝屋川工場での開発の様子(写真:クラボウ)
クラボウ寝屋川工場での開発の様子(写真:クラボウ)
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 クラボウの化成品事業部と東京大学大学院工学系研究科は、建設用のアディティブ製造装置(3Dプリンター)を用いた造形技術などについて共同研究を本格化させる。造形物の構造性能評価技術を確立する他、数値シミュレーションに基づくメタマテリアル技術の開発・実証を進め、セメント系材料が持つ物性の向上と新たな物性の獲得を目指す。

クラボウのニュースリリース

 2022年4月に結んだ共同研究契約に基づき、同年7月から実際に建設用3Dプリンターで造形物を製作している。特殊な材料の採用や材料の配合、層間の存在による力学特性の異方性、耐久性への影響などを考慮した構造性能評価技術を開発する。併せて、非線形構造解析システムと人工知能(AI)を活用して、新たな力学特性を持つセメント系メタマテリアルの開発と実証にも取り組む。これにより、従来のセメント系材料にはない物性を持つ新たな材料を実現する、内部構造の工夫によって軽量化しつつ強度・靭性を高める、といった3Dプリンティング技術の新たな活用が期待できるという。

 研究に当たってクラボウは、建設用3Dプリンターに関する技術情報を提供する他、3Dプリンターによる造形物を試作し、構造の設計から材料配合、成形までの工程における精度と課題をフィードバックする。一方の東京大学は、メタマテリアル技術の数値解析と解析データの提供を担当する。両者の計画では、2022年には材料・部材実験とメタマテリアル技術の数値解析を進め、2023年以降にメタマテリアル技術の実証実験へ段階を進める。

 クラボウは、共同研究で実現した3Dプリンティング技術を建築・土木分野で活用し、ノウハウを蓄積。さらに高い居住性や安全性などが求められる住宅分野での活用も検討する。東京大学は、メタマテリアル技術を通してセメント系材料の新たな機能や価値を創出し、同技術の社会実装を目指す。さらに両者は、建設用3Dプリンターに利用できて、かつ二酸化炭素排出量の削減にも貢献する低炭素型のセメント系材料の開発も共同で展開するという。

 クラボウは、2021年5月に建設用3Dプリンティング事業を開始。建築構造物の工法検証や景観材などの造形物を製作・販売している。特に景観材の製作では、精緻なデザインを再現する高精度な3Dプリンティング技術と、強度を高めるための構造設計の両方が必要なため、強度向上のための技術開発や評価、検証に取り組んでいる。

 一方、東京大学は社会基盤学専攻コンクリート研究室において2020年から、独自に開発した数値解析技術を生かしてセメント系材料のメタマテリアル技術を研究。数値解析によるシミュレーションの結果を再現する造形精度に課題があることから、より精緻な内部構造を設計・造形できる建設用3Dプリンターの活用を検討していたという。

 そこで両者は、それぞれが持つ技術を融合してセメント系材料を使ったメタマテリアル技術を研究開発し、建設用3Dプリンターによる造形物の安全性向上への貢献と、材料コスト・環境負荷の低減に取り組むことで合意していた。

メタマテリアル技術を用いて試作した造形物(写真:クラボウ)
メタマテリアル技術を用いて試作した造形物(写真:クラボウ)
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共同研究の概要(写真:クラボウ)
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