中国Volkswagen Group Chinaは2022年7月27日、電動の垂直離着陸(eVTOL)機「V.MO」を発表した。2020年からプロジェクト開発に取り組んでおり、今回、機体の外観や仕様などを明らかにした。eVTOL機は、従来の航空機に比べて自動車のように手軽に利用できる可能性があることから、「空飛ぶクルマ」とも呼ばれている。

eVTOL機「V.MO」
eVTOL機「V.MO」
(写真:Volkswagen Group)
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 V.MOは4人の客を乗せつつ、最大200kmを移動できるとする。垂直離着陸用のローターと推進用のローターを別に備える「リフト&クルーズ」型。垂直離着陸用に8つ、推進用に2つのローターを備える。機体サイズは、長さが11.2m、ウイングスパン(翼幅)が10.6mである。自律飛行を目指しているため、操縦者が同乗しない「パッセンジャードローン」としている。2022年後半から飛行試験を開始し、その結果を基に試験用機体を改良。その改良した機体で2023年夏に飛行試験を実施する計画だとする。

V.MOは垂直離着陸用に8つ、推進用に2つのローターを備える
V.MOは垂直離着陸用に8つ、推進用に2つのローターを備える
(写真:Volkswagen Group)
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Volkswagen Group ChinaのeVTOL機のチームメンバーと機体
Volkswagen Group ChinaのeVTOL機のチームメンバーと機体
(写真:Volkswagen Group)
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 近年、自動車メーカーがeVTOL機の開発、あるいは開発している新興企業を支援している事例が増えている。例えば日本の自動車メーカーでは、ホンダが自社でeVTOL機を開発しているほか、トヨタ自動車は米Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)に出資し、量産で協力している。スズキはSkyDrive(愛知県豊田市)と機体開発や量産などで協力体制を築いている。サプライヤーにまで目を向けると、デンソーが航空機の装備品の米大手Honeywell International(ハネウェル)と共同で、eVTOLなどの電動航空機に向けた電動推進系を開発するなど、取り組みが加速している。