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 村田製作所と東北大学は共同で、土壌センサーを活用して特定のイネが持つ塩害耐性の要因を分析する実証実験に取り組む。2022年6月~2023年3月の期間、東北大学の野外実験施設(宮城県大崎市)内の実験圃場に土壌センサーを設置。土壌内のデータを取得し、イネの塩害への耐性について調べる。

村田製作所のニュースリリース
東北大学の野外実験施設内に設けられた実験圃場(出所:村田製作所)
東北大学の野外実験施設内に設けられた実験圃場(出所:村田製作所)
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 実証実験に用いる土壌センサーは、電気伝導度(EC)センサー、水分センサー、温度センサーを搭載したもの。1台で土壌中の肥料や塩分、水分、温度を測れる。そのうちECセンサーは、9電極で多くのパターン計測を実施して異常値を排除することにより、精度を高めた。村田製作所は、2022年5月にこの土壌センサーの量産を開始している。

土壌センサー量産開始に関する村田製作所のニュースリリース

 同社は津波被災地の圃場が受けた塩害の解決に向けて、2012年から東北大学大学院農学研究科との共同実証実験を進めてきた。新たに始める実証実験では、塩害を受けた圃場を模擬した実験圃場で、土壌の深さが異なる位置に土壌センサーを埋設。ゲートウェイシステムを介したデータ通信により、土壌内の塩分濃度の推移などを遠隔からモニタリングする。

 東北大学は農業・食品産業技術総合研究機構と共に、塩害に強いイネの開発や塩害実験圃場での実証実験に取り組み、2020年に論文を発表。地表面近くに根を張るように改良したイネ(地表根イネ系統)は、地表に根を張らないイネに比べて塩害による収量の減少を抑えられたと明らかにした。この現象は、地表根を形成することで土壌内の塩分によるストレスなどを回避できるためだと考えられている。

研究成果や論文発表に関する東北大学などのニュースリリース

 この結果を踏まえて村田製作所と東北大学は、実証実験を実施し、地表根イネ系統が持つ耐性の要因を探る。両者によると、海面上昇に伴う高潮や大規模な台風の頻発など、気候変動に起因する農地の塩害が世界規模で深刻化しており、塩害に強い作物の開発に向けた研究が進んでいるという。両者は実証実験の成果を生かして、塩害の解決に向けた研究を継続する計画だ。