ルネサス エレクトロニクスは、独自のCPUコア「RX」をベースにする32ビットマイコン「RXファミリ」の新製品として「RX660グループ」(図1)の量産出荷を始めたと、2022年8月2日に発表した ニュースリリース 。RXファミリのハイエンド品「RX600シリーズ」としては、初めての+5V電源で動作するマイコンである。これまでのRX600シリーズ製品は、+3.3V電源での動作だった。家電や産業機器に向ける。
同社によれば、3.3V動作のマイコンを家電や産業機器に使った場合、コイルなどのノイズ対策部品を外付けすることが多かったという。5V動作の新製品は3.3V動作品に比べてノイズ耐性が高いため、こうした外付け部品が不要で、トータルコストを削減できるとする(図2)。また、新製品はRXファミリとして初めてCAN FDコントローラーを集積した。CANを使う場合に比べて、通信速度や通信容量を高めることができるとする。
新製品のRX660グループのCPUコアは「RXv3コア」(6.00 CoreMark/MHz)で、その最大動作周波数は120MHzである。最大1Mバイトのフラッシュメモリーと最大128KバイトのSRAMを集積する(どちらもCPUコアからノーウエートでアクセス可能)。48~144ピンのパッケージを用意している。144ピンのパッケージでは、汎用IOピンの有効端子が134ピンと多い。有効端子数は既存のRXファミリの5V動作品(RX210)比で10%(11ピン)増えた。これで例えば、1チップにより多くのセンサーを接続できるという。動作温度範囲は-40~+85℃(Dバージョン)または-40~+105℃(Gバージョン)である。
今回のマイコンの応用開発に向けて、ルネサスは2種類の開発ボードを用意した(図4)。安価なプロトタイピング用の「Target Board for RX660」と、詳細な評価用の「Renesas Starter Kit for RX660」である。