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 テント構造物や土木・物流資材などの設計・製造・施工を手がける太陽工業(東京・世田谷、大阪市)は、日本海事協会が取り組む海洋エネルギー収穫船(Ocean Energy Harvest Vessel:OEHV)の開発に同社の技術が活用されていることを明らかにした(図1)。飛行機の翼のような形状の帆の骨組みと表面加工で、実験船の製作に協力している。日本海事協会などは、2022年8月に琵琶湖で実証実験を開始する。

図1 帆船型風力発電船のイメージ
図1 帆船型風力発電船のイメージ
(出所:日本海事協会)
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* 太陽工業のニュースリリース: https://www.taiyokogyo.co.jp/blog/news/a329

 日本海事協会は、風を受けて進みながら海水でプロペラを回して発電するOEHV「帆船型風力発電船」の構想を掲げ、2030年までの技術確立と実用化を目指している。帆船は、沿岸に設置される着床/浮体式の洋上風力発電と異なり、より強い風が吹いている遠洋まで自力で移動して発電できるのが利点。空気より密度の大きな海水で発電機のプロペラを回すため、風力発電より高効率な発電が可能だとする。さらに、自ら発電した後に蓄電・移動し、港に直接エネルギーを届けられる。試算では、帆船型風力発電船を100隻運用すれば、日本国内の総発電量の10%を賄えるとしている。

 帆船型風力発電船向けに開発中の帆走技術は、左右に傾く回転型の帆を用いて、風に応じてより効率的に揚力を生むもの(図2)。帆を飛行機の翼の断面のような構造として厚みを持たせ、高い揚力を得られるようにしており、「向かい風でも前進する」(太陽工業)。加えて、船上に据えた空中翼と海中にある水中翼が連動し、帆にかかる力によって船体が転倒するのを防ぐ仕組みも取り入れている。

図2 実験船の外観
図2 実験船の外観
(出所:太陽工業)
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 上記の帆の骨組みと、帆の表面を覆う高耐久膜の製造に、太陽工業の技術が活用されている。日本海事協会と太陽工業は、2021年3月に技術開発に着手。回転型の帆による帆走の実験と、空中翼と水中翼の連動により転倒を防ぐ実験を実施し、2022年5月に特許を申請した。同年8月には、発電データを取得する実験や、GPS(全地球測位システム)に基づいて指定地点を自動で回る実験、風に合わせて速度を出す実験をなど開始し、発電効率の向上を図る。

 太陽工業は、1970年代に帆の製造を始めて以降、帆船技術の開発を続けてきた。耐候性に優れるエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を用いた膜構造の解析・加工技術を生かして、2017年にはETFE製のセイルを開発している。同社は今後も、膜構造で培った「風に耐える」技術を生かして帆船型風力発電船の技術開発に協力していく計画。