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 ロームは、車載機器に向けた降圧型DC-DCコンバーターIC(図1)の新製品を発売した ニュースリリース 。応用先は、ADAS(先進運転支援システム)機器や、車載インフォテインメント機器、車載ゲートウェー機器などである。こうした車載機器に搭載するマイコンやSoC(System on a Chip)、DDRメモリーなどに電力を供給する用途で使う。

図1 出力電圧の安定度を高めた車載機器向け降圧型DC-DCコンバーターIC
図1 出力電圧の安定度を高めた車載機器向け降圧型DC-DCコンバーターIC
(出所:ローム)
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 新製品の特徴は、負荷応答性能が高い(出力電圧の安定性が高い)こと(図2)。例えば、出力電圧が+1.2V、出力コンデンサーの静電容量が44μF、負荷電流変化が2μs間に0Aから2Aという条件において、出力電圧変動幅は30mVと狭い。従来、同じ条件で変動幅が最も狭かった競合他社品は40mVだった。新製品は、これに比べると変動幅を25%低減できる。「最新のADAS機器に搭載するSoCでは、電源電圧が+1V以下に低下しているものの、出力電圧の変動幅は従来通り±5%に収めなければならない。新製品であれば、こうした要求を比較的大きな設計余裕を持ってクリアできる」(同社)。

図2 新製品と競合他社品の負荷応答性能の比較
図2 新製品と競合他社品の負荷応答性能の比較
左は、競合他社品の負荷応答性能。出力電圧が+1.2V、出力コンデンサーの静電容量が44μF、負荷電流変化が2μs間に0Aから2Aという条件のとき、競合他社品の出力電圧変動幅は40mVだった。右は、新製品の負荷応答性能。同じ条件の場合、新製品は変動幅を30mVに抑えられる(出所:ローム)
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 また新製品は、負荷応答性能に関する動作モードを選択する機能を用意した(図3)。GAIN端子の設定で選択する。GAIN端子を「High(ハイ)」に設定すれば、「電圧変動量優先モード」を選択できる。このモードを使えば、出力コンデンサーの容量には一般的な44μFが必要になるが、出力電圧の変動幅は33mVに抑えられる(出力電圧は+1.0V、負荷電流変化は2μs間に0Aから2A)。一方、GAIN端子を「Low(ロー)」に設定すれば、「コンデンサ削減優先モード」を選べる。このモードを使えば、出力電圧の変動幅は69mV(出力電圧は+1.0V、負荷電流変化は2μs間に0Aから2A)と大きくなるものの、出力コンデンサーの容量は22μFに減らせる。同社によると、「電圧変動量優先モードは高性能なSoC向け。コンデンサ削減優先モードは一般的なマイコン向け。コンデンサ削減優先モードを選べば、出力コンデンサーの容量を減らせるためコストと基板上の実装面積を削減できる」という。なお、どちらの動作モードでも位相余裕は45度以上を確保できる。

図3 負荷応答性能に関する2つの動作モードを用意
図3 負荷応答性能に関する2つの動作モードを用意
GAIN端子の選択で、「電圧変動量優先モード」と「コンデンサ削減優先モード」のどちらか一方を選択する。電圧変動量優先モードを選べば、一般的な降圧型DC-DCコンバーターICと同様に44μFの出力コンデンサーの容量が必要になるが、出力電圧の変動幅は33mV(出力電圧が+1.0V、負荷電流変化が2μs間に0Aから2Aのとき)に抑えられる。一方、コンデンサ削減優先モードを選べば、変動幅が69mV(出力電圧が+1.0V、負荷電流変化が2μs間に0Aから2Aのとき)と大きくなるが、出力コンデンサーの容量は22μFに減らせる(出所:ローム)
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 新製品の型番は「BD9S402MUF-C」。入力電圧(VIN)範囲は2.5〜5.5V。入力の電力源としては、車載バッテリーの+12V出力を降圧する前段のDC-DCコンバーターICの出力を想定する。つまり、新製品は「セカンダリー電源向け」である。出力電圧は+0.6V〜(VIN×0.75)の範囲でユーザーが設定できる。出力電圧の誤差は±1.0%。最大出力電流は4A。スイッチング周波数は2.2MHz(標準値)である。パッケージは、外形寸法が3.0mm×3.0mm×1.0mmの16端子VQFN。動作温度範囲は−40〜+125℃。すでにサンプル出荷を始めている。サンプル品の参考単価は550円(税込み)。量産は23年4月に月産10万個規模で開始する予定である。

 なお、新製品で負荷応答性能を高められた(出力電圧の安定性を高められた)理由は、同社独自の電源回路技術「QuiCur」*を採用したことにある。QuiCurは、DC-DCコンバーターICなどの電源ICのフィードバック(帰還)回路を構成する誤差アンプ(エラーアンプ)を工夫することで、負荷応答性能を高める技術である。

* 関連記事 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06522/