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 日本製鉄副社長の森高弘氏は、2022年8月4日に開いた2022年4~6月期の決算説明会で、カーボンニュートラルスチール(CNS)を「マスバランス方式」で提供すると語った。同社は2022年5月、二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロであるCNSの販売を2023年度に始めると発表していた。

(写真:日経クロステック)
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 マスバランス方式とは、ある特定の性質を持つ製品や材料の割合に応じ、販売する一部の製品が「その特性を持っている」と見なす考え方だ。例えば、バイオプラスチック製品を取り扱う化学業界などでも注目を集めている。

 今回、日本製鉄は全社のCO2削減量を集計し、合計でその削減量が一致するよう、特定の鉄鋼製品に削減量を割り当てる。つまり、実際には生産工程でCO2を排出していたとしても、社内の他所で得たCO2削減量を一部の鉄鋼製品に当てはめ、CO2排出量が実質ゼロのCNSとして販売する。

 このような考え方を導入するのは、鉄鋼生産のCO2排出量を完全に削減するのは技術的に難しいからだ。そこで、「顧客のカーボンニュートラル達成に貢献するため、できるだけ早い時期のCNSの提供にこだわった」(森氏)。

 CNSの生産に向けた取り組みの一環として、同社は瀬戸内製鉄所広畑地区に新設した電炉の営業運転を2022年内に開始する。新設した電炉の年間生産能力は70万tで、グリーン電力を使った生産に向けて検討が進められている。ただし、マスバランス方式を全社的に採用するため、「広畑地区の新電炉で造る鉄鋼製品が必ずしもCNSとは限らない」(同社)。また、CNSとして販売する鉄鋼製品のラインアップも現時点で未定だ。

 なお、2022年4~6月期の連結決算については、売上収益が前年同期比27.7%増の約1兆9191億円、事業利益は同56.1%増の約3388億円だった。説明会で森氏は「四半期ベースでは過去最高益を更新した。生産量に頼らない体制への転換が着実に進んでいる」と自信を見せた。