NTTドコモとAGC、NTTコミュニケーションズは2022年9月8日、トヨタ自動車と共同で取り組んでいた実証実験に成功したと発表した。建物の窓ガラスに設置したカメラで撮影した付近の車や自転車、人などの移動体の映像を走行中の自動車へ5G(第5世代移動通信システム)通信で伝送し、仮想空間のマップ上にリアルタイムで表示するというもの。
実験にはAGCが開発した、5G対応のガラスアンテナ「WAVEATTOCH(ウェーブアトッチ)」と、NTTドコモ網内の端末に近い側(エッジ)で処理をするエッジコンピューティング技術を使ったクラウドサービス「docomo MEC」を使った。窓ガラスにカメラとWAVEATTOCHを設置し、カメラで撮影した映像をdocomo MEC上に構築したAI(人工知能)解析システムへWAVEATTOCH経由で送付すると、システムが移動体の位置を仮想のマップに表示する。これにより、運転者は危険を予見できる。
エッジコンピューティング技術と5G通信を組み合わせることで、撮影から仮想マップを車内で表示するまでの遅延を約0.3秒、位置情報の誤差を約30cm以下に抑えたとしている。
約2カ月にわたった今回の実験には、安全運転を支援する上での仮想マップをさらに便利にする狙いもあった。既に現実の道路情報を仮想マップ上に再現して運転に役立てる取り組みは進んでいるが、移動体をリアルタイムでマップ上に表示することには課題があったという。