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 三菱重工エンジニアリング(横浜市)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、地球環境産業技術研究機構(RITE)は共同で、二酸化炭素(CO2)固体吸収材を用いて大気中のCO2を直接回収する(Direct Air Capture、以下、DAC)試験装置を開発した(図1)。

 CO2固体吸収材は、既に実用化が進む液体のアミン系吸収材などと比べて、吸収したCO2の分離(吸収材の再生)に必要な加熱温度を下げられる可能性がある。「アミン系液体吸収材では、低いもので(CO2の分離に)80℃程度必要だった。固体吸収材はそれ以下でも稼働を実現できる」(三菱重工)という。同社は具体的な温度は非公開としたが、固体吸収材を使ったDAC装置が実用化すれば、これまで使い道が限られていた温度の低い廃熱(未利用熱)が活用できる。

図1 RITE敷地内(京都府木津川市)にある実験棟の外観(左)とDAC試験装置の模式図(右)
図1 RITE敷地内(京都府木津川市)にある実験棟の外観(左)とDAC試験装置の模式図(右)
DAC試験装置は実験棟内に設置されている。同装置の大きさは設置面積で5m×2m程度という。(出所:三菱重工)
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 新たに開発した装置は、1日当たり数kg程度のCO2を回収できる。一方、これまでRITEが進めてきた研究は、同数gの試験装置を用いた吸収材の探索などにとどまっていた。今回、試験装置のスケールアップによって、システム全体を評価できるようになった。例えば、「装置の消費電力に対するCO2回収量を評価したり、固体吸収材の性能を最大限に引き出すプロセス設計に生かしたりする」(三菱重工)計画だ。

 なお、今回の成果は内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発事業」のうち、金沢大学、RITE、三菱重工エンジニアリングが共同で進める「大気中からの高効率CO2分離回収・炭素循環技術の開発」の一部。金沢大学が本開発を主導し、RITEが固体吸収材の開発、三菱重工エンジニアリングがシステム開発やスケールアップの検討を主に担う。次のステップでは、2025年以降に1日当たりの回収量を数t~10tにスケールアップしたパイロット試験機の開発を目指す。