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 三菱重工業は、従来の加圧水型軽水炉から安全性を高めた「革新軽水炉」のコンセプトを公表した。北海道電力と関西電力、四国電力、九州電力と協力して作成したもの。福島第一原子力発電所の事故の教訓を反映した新しい規制基準や国際原子力機関(IAEA)の最新基準を踏まえて開発に取り組んでいるという。今後、電気出力が120万kW級の「SRZ-1200」について基本設計を進める()。

図 「SRZ-1200」のイメージ
図 「SRZ-1200」のイメージ
(出所:三菱重工業)
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* https://www.mhi.com/jp/news/220929.html

 SRZ-1200では、安全系設備を強化するとともに、自然災害への耐性とテロ・不測の事態に対するセキュリティー性能を高める。例えば、事故初期の迅速な対応と速やかな事故収束を目的として、プラントの状態に応じて自動で作動し、確実に炉心を冷却する高性能蓄圧タンクを装備。格納容器の下部には、溶融デブリを格納容器内で確実に保持・冷却できるコアキャッチャーを設置する。これらのパッシブ系システムと、炉心注水システムなどのアクティブ系システムとの組み合わせにより、安全対策を多重化する。

 万が一の重大事故に備えて、放出される放射能量を低減し、影響を発電所の敷地内に留めるためのシステムも設計する。具体的には、格納容器の破損を防ぐ設備、セシウムやよう素を除去するフィルターベントシステム、ベントガスから希ガスを吸着・分離・貯留するシステムなどを設置する。

 その他、再生可能エネルギーの拡大に伴う、電力系統が不安定になりやすい、低負荷期に余剰電力が発生する、といった課題にも対応。1日単位の電力需要変化に合わせて出力を調整する「日負荷追従運転」や、秒~分単位の電力需要の変化に合わせてプラント出力を±5%ほどで調整する「周波数制御運転」も可能にする。

 SRZの「S」はSupreme Safety(超安全)とSustainability(持続可能性)を、「R」はResilient(しなやかで強じんな)light water Reactor(軽水炉)を、「Z」はZero Carbon(二酸化炭素排出ゼロ)で社会に貢献する究極型(Z)を表すという。同社は、既設プラントの再稼働と再稼働後の安全安定運転の実現を通して継続的に安全性向上に努めながら、SRZ-1200の早期の市場投入を目指す。これにより「カーボンニュートラル社会の実現に貢献する」としている。