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 NTTと九州大学、東京大学の3者は2022年9月30日、量子ビットに対して宇宙線が集中的に生じさせる「バーストエラー」の影響を大幅に減らせる量子コンピューターのアーキテクチャーを開発したと発表した。バーストエラーの発生を検知し、それに応じて量子ビットの誤り訂正方式を変更することが主な内容だ。

 量子誤り訂正技術は実用的な量子コンピューターに不可欠で、これまでは数百個の物理的な量子ビットを使って1個の論理量子ビットの状態を冗長に表現すれば、物理量子ビットにエラーが生じてもそれを訂正して、論理量子ビットの正しい状態を維持できると考えられてきた。しかし最近は宇宙線に起因するバーストエラーの影響が思いのほか大きく、量子誤り訂正にはより多くの物理量子ビットが必要になると分かってきた。

 今回NTTなどは、バーストエラーが量子誤り訂正に与える影響を世界で初めて定量的に評価した。それによれば、超電導方式の量子コンピューターにおいてバーストエラーの対策を講じない場合、1個の論理量子ビットの誤りを訂正するのに数百個ではなく数千個以上の物理量子ビットが必要になると分かったという。

 そこで、従来の想定と同じ数百個の物理量子ビットで量子誤り訂正が実現できるようなバーストエラー対策を考案した。ポイントは3つある。

 第1にバーストエラーの発生を検知する技術を開発した。第2にバーストエラーが発生した際に、量子誤り訂正方式を通常の「表面符号」からバーストエラーに耐性のある別の方式に変更する技術を開発した。バーストエラーに耐性がある誤り訂正方式には数千個の物理量子ビットが必要なため、バーストエラーが発生したときにだけそれを使用し、普段は必要な物理量子ビットがより少ない表面符号を使う。

 第3にバーストエラーの発生情報に基づいてより正確なエラーを推定する技術を開発した。この3つを組み合わせることで、バーストエラーの影響を抑制できるとしている。