AI(人工知能)創薬スタートアップのElix(東京・千代田)は2022年10月4日、バイオスタートアップのSEEDSUPPLY(神奈川県藤沢市)と共同研究を始めたと発表した。SEEDSUPPLYが豊富に保有する膜たんぱく質などのデータをAIに学習させ、優れた化合物を効率的に絞り込む技術の確立を目指す。
SEEDSUPPLYは武田薬品工業からスピンアウトする形で2017年に創業し、独自の化合物スクリーニング手法である「バインダセレクション技術」に強みを持つ。同技術はあらゆるたんぱく質やRNAに対して化合物スクリーニングを実施できるのが特徴だ。樽井直樹社長によると「SEEDSUPPLYが保有する結合化合物データベースは全て同一方法で測定しているため、高品質なものとなっている」と語る。
ElixはSEEDSUPPLYの持つデータの中でも、特に膜たんぱく質に注目する。細胞膜に存在するたんぱく質で、創薬ターゲットとして重要なものが多いことが知られている。膜たんぱく質などの結合化合物データをAIに学習させることで、医薬品候補となる優れた性質の化合物を計算機上で効率的に絞り込む技術の確立を目指す。
SEEDSUPPLY側もElixのAIを活用し、スクリーニング過程の飛躍的な効率化を狙う。両社は互いの強みを生かすことで「従来は困難である(創薬)ターゲットへの取り組みの実現を目指す」としている。