コマツは鉄道車両向けに、コモンレール式の燃料噴射システムを採用した排気量23L(600馬力)の立型エンジン「SAA6D170E-5R」を発売した(図)。従来のボッシュ式のディーゼルエンジンを新製品に置き換えることにより、環境負荷を低減できる。新製品の発売で、気動車向け横型ディーゼルエンジンを含む同社の鉄道車両向けディーゼルエンジンの全製品が、同システムの採用品になった。
* コマツのニュースリリース: https://www.komatsu.jp/ja/newsroom/2022/20220930_2同社製ブルドーザー「D375A-6R」に搭載するエンジンをベースに、ディーゼル機関車や保守用車など向けに開発した。D375A-6Rのエンジンは、耐久性に優れるのが特徴。燃料噴射にコモンレール式を採用することにより、ボッシュ式燃料噴射ポンプ(列型噴射ポンプ)に比べて窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の排出量を、それぞれ約50%と約70%減らした。
コモンレール式燃料噴射システムは、送油ポンプで圧力を高めた燃料をコモンレール(蓄圧室)に蓄えて、コントローラーで噴射を電子制御する。これにより、エンジンの回転速度にかかわらず噴射圧力をほぼ一定にできるうえ、噴射量・噴射時期などを常に最適化できる。ボッシュ式の約2~3倍の高圧で燃料の噴射が可能なのに加えて、エンジンの回転数に依存することなく最適なタイミングで噴射量・噴射時期を調整できるため、燃費性能を維持しながら排出ガス中の大気汚染物質を減らせるという。
新製品ではさらに、アイドルストップに対応したエンジンスターターの耐久性を向上させた。各機器類の電動化に対応して、オルタネーターの容量も従来の75Aから140Aへ大容量化。エアコンや油圧ポンプなどの補助機器向けには、アクセサリー駆動用プーリーを標準装備している。