オンライン診療システム大手のMICIN(東京・千代田)は2022年10月12日、人工知能(AI)による薬歴入力サポートシステム「Karin by MICIN」のベータ版の提供を始めたと発表した。薬局・薬剤師向けのサービスで、薬剤師による服薬指導会話をAIが分析して自動で薬歴文章を作成する。薬剤師の薬歴入力の負荷を減らし、患者対応を優先的にできるよう後押しする。
薬歴は正式には薬剤服用歴といい、処方内容や患者の状態を記録したもの。調剤薬局では処方薬を患者に渡す際に、薬剤師が服薬指導をする。そこでヒアリングした患者の情報などが蓄積され、症状が改善しているかどうかといった判断に生かされる。一方でMICINによる薬剤師を対象とした調査では、約80%の人が「服薬指導をした直後に薬歴を記入する時間がなく、後でまとめて書いている」と回答し、75%弱の人が「薬歴入力が終わらず残業になる」と回答するなど、現場の大きな負担になっていた。
Karin by MICINは、AIの活用によってこうした薬剤師の薬歴入力にかかる負担の軽減を目指す。服薬指導の会話を単に文字起こしするのではなく、自動で薬歴文章を作成するのが特徴だ。同社によると「薬剤師の『思い出す』『考える』『書く』のすべてを短縮する画期的な薬歴入力サポートシステム」だという。
薬局業界では近年、入力業務などの事務負担を減らし、薬剤師が対人業務に集中できるような体制作りを支援する動きが活発だ。MICINもオンライン診療サービス「curon(クロン)」やオンライン服薬指導サービス「curonお薬サポート」を展開してきた。今回のKarin by MICINの提供開始によって、患者と医療機関の双方にとってよりスムーズで負担が少ない医療体験の提供を目指すとしている。