ジェイテクトは電動車両の駆動モジュールである電動アクスル向けに、幅を従来品より3割薄くした軸受け「JTEKT Ultra Compact Bearing(JUCB)」を開発した。電動アクスルに搭載することで、モジュール全体の長さを短くできる。電動アクスルで求められる小型化の需要を捉え、年間70億円の売上高を目指す。
軸受けに組み込む樹脂製の保持器において側面に穴を設け、保持器の幅を狭くすることで、軸受け全体の幅を5mm薄型化した。質量は従来品に比べ約26%軽量化した。
小型軽量化しながらも、軸受けの強度や耐久性は従来品と同等という。金型の設計や成形手法を工夫し、保持器の強度を確保した。
同軸受けの搭載を想定する電動アクスルは、駆動モーターとインバーター、ギアボックス〔減速機と差動歯車装置(デフ)〕を一体化した電動駆動モジュールである。電気自動車(EV)を中心に電動車両への採用が急拡大しており、電力消費率(電費)の向上や航続距離の延長のため、小型化が求められている。
ジェイテクトは電動アクスル向けの製品として、軸受けに加え、デフやオイルシールも開発済み。オイルシールは、デフとドライブシャフトの連結部に装着し、内部からの油の漏れや外部からの異物混入を防ぐものである。3製品を出力150kWの同軸型の電動アクスルに搭載した場合、モジュール全体の長さを約50mm短く、質量を約5kg小さくできるとしている。
なお、同社は今回の軸受けを電動アクスルだけでなく、建設機械や農業機械、ロボット、ドローンといった産業機械に適用することも考えているという。