NEXCO西日本は橋梁などコンクリート構造物の損傷箇所を抽出するシステムで、偏光フィルターを採用した赤外線カメラの実用化に成功したと発表した。これにより課題だった日中の点検を可能にし、精度も2倍弱高めた。2022年12月には、偏光フィルターを内蔵した赤外線カメラ用のレンズを市場展開する予定だ。

 NEXCO西日本はこれまで赤外線カメラを使った画像撮影システム「Jシステム」を使い、橋梁などに生じたコンリートの浮きや剥離といった損傷箇所の点検作業に役立ててきた。同システムでは損傷箇所と正常な部分の温度差を赤外線カメラで可視化し、損傷部を抽出する。ただし、日中は太陽に熱せられた地面などの熱反射を赤外線カメラが捉えて抽出精度が下がるため、同システムによる点検は夜間に限定していた。

 熱反射をカットするために、偏光フィルターを内蔵した赤外線カメラ用のレンズを開発。さらに西日本高速道路エンジニアリング四国が持つ画像処理や統計的処理技術を使い、高精度な熱画像を取得可能にした。この結果、日中でも点検をできるようになり、損傷箇所の抽出率も従来の24%から46%まで高めた。今後は偏光フィルターを内蔵したレンズの市場展開に加えて、ドローンへの搭載を見据え偏光フィルターを内蔵した小型赤外線カメラを2023年度中に投入する計画だ。