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 NTNは2022年11月、固定式等速ジョイント「CFJ」の量産を始めたことを発表した。自動車メーカー数社から受注を獲得したとしている。同社の生産する固定式等速ジョイント「EBJ」の基本特性を維持しつつ、トルク損失率をEBJから50%以上低減したのが特徴だ。

 等速ジョイントは、回転運動の伝達に使用する部品だ。入力軸と出力軸の間に角度があっても常に双方の軸が等しい速度で回転し、トルクを伝達する。近年、自動車業界では省燃費化・省電費化に向けた取り組みが進められるなか、等速ジョイントの高効率化のニーズが高まっているという。同社はCFJでこのニーズに対応した。

 一般的な等速ジョイントはトルクを伝達する際、内部構造のボールがケージを押す力が一方向に偏ることで部品間に摩擦が起き、トルク損失が発生する。加えて、等速ジョイントの取り付け角度が大きくなるとボールがケージを押す力も大きくなり、トルク損失は増加する。

 CFJではこれらのトルク損失を低減するため、独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造」を採用した。この構造は、ボールが通る転動溝を内輪・外輪で互いに交差させたものだ。隣り合う転動溝を互い違いに傾斜させることで、ボールが内部部品を押す力の向きを交互に振り分け、力の偏りを抑制する。これによりトルク損失をEBJに対して50%以上低減できた。

従来品(EBJ)とCFJの構造比較
従来品(EBJ)とCFJの構造比較
CFJは、転動溝を内輪・外輪で互いに交差させたのが特徴だ。(出所:NTN)
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 同社の広報担当者は「CFJは電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に最適だ」と話す。EVは大容量電池や衝突安全性などを考慮し、パワートレーンユニットを車両の端に配置する傾向がある。そのため等速ジョイントの取り付け角度が大きくなる。そこで取り付け角度が大きくてもトルク損失の少ないCFJの採用は有効だという。

 一般的なEVやHEVは、減速時にモーターを回して電力として蓄える回生ブレーキシステムを搭載する。CFJは、独自構造により走行時と逆方向の回生トルクが入力する際のトルク損失も低減できるとした。