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 凸版印刷と情報通信研究機構(NICT)が耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography、PQC)を搭載したICカード「PQC CARD」を開発した。NICTが運用する「保健医療用の長期セキュアデータ保管・交換システム」で医療従事者のICカード認証と電子カルテデータへのアクセス制御に適用し、有効性を検証した。

凸版印刷は情報通信研究機構と耐量子計算機暗号を搭載したICカードを開発した
凸版印刷は情報通信研究機構と耐量子計算機暗号を搭載したICカードを開発した
(出所:凸版印刷)
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 現在、個人認証や電子商取引といった多くの場面で使われる「RSA暗号」は、現行方式のコンピューターでは桁数が大きい合成数の素因数分解問題が現実的な時間で解けないことを安全性の根拠とする。だが十分な性能を持った量子コンピューターが完成すると、効率的に素因数分解ができる「ショアのアルゴリズム」を用いて短時間で解けることが知られている。するとRSA暗号の安全性が損なわれる恐れがあることから、量子コンピューターでも解読が困難なPQCへの対応が求められている。

 凸版印刷とNICTは米国政府機関の国立標準技術研究所(NIST)が選定したPQCの1つ「CRYSTALS-Dilithium」をPQC CARDに搭載した。2022年8月から10月に実施した実証実験では、PQC CARDを医療従事者が持つ資格証明書「HPKIカード(保健医療用公開鍵認証カード)」に見立てて、ICカード認証と顔認証を組み合わせて電子カルテを閲覧する際の多要素認証に用いるなどした。権限に応じた電子カルテ情報へのアクセスが可能なことなど有効性を確認できたという。

 凸版印刷はPQC CARDと関連システムについて、2025年に医療や金融などの用途で実用化し、2030年に本格的な提供開始を目指す。