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 三井化学は、同社名古屋工場(名古屋市)内に新たな炭素繊維(CF)製造技術の実証設備を設置する()。同社とマイクロ波化学が検討中の基盤技術「Carbon-MX方式による焼成を含むプロセス」を実証し、量産技術の確立を目指す。これにより、CF製造工程におけるエネルギー消費量の削減が期待できる。工事完成(完工)予定は2023年12月。

図 実証設備ラインの全体イメージ
図 実証設備ラインの全体イメージ
(出所:マイクロ波化学、三井化学)
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* マイクロ波化学と三井化学のニュースリリース: https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2022/2022_1116.htm

 新技術の中核になるのは、マイクロ波化学のCF焼成技術「Carbon-MX」。これは、CFの製造工程のうち耐炎化プロセスと炭化プロセスを一貫してマイクロ波で処理するもの。マイクロ波によって材料内部から加熱するため、従来の焼成・炭化方法に比べて加熱処理時間を大幅に短縮できるという。それに伴って焼成プロセスのラインが短くなるので、設備の省スペース化も図れる。

 従来の製造工程では、材料のポリアクリロニトリル(PAN)に熱風を吹きつけて耐炎化処理し、それをヒーターで炭化処理する。材料を間接的に加熱する上、全体を高温にするため、処理時間の長さや装置の大型化、エネルギー消費量の大きさが課題となっていた。特に耐炎化プロセスは、CFの製造工程全体で最もエネルギー消費量が大きいという。Carbon-MXは、材料を直接加熱して局所的に温度を上げるため、これらの課題を解決できる。

* 2022年5月9日付、三井化学とマイクロ波化学のニュースリリース: https://mwcc.jp/news/1048/

 加えてCarbon-MXは、装置自体が高温にならず、装置コストの低減と安全性の向上が見込めるとしている。両社による試算では、エネルギー消費量を約50%削減できる。将来、マイクロ波を発生させる電源を再生可能エネルギー由来に変更すれば、二酸化炭素排出量を90%減らせる見通しという。

 実証設備への投資額は約20億円。設置に当たっては、マイクロ波化学が焼成ラインの機器一式を供給し、三井化学がプロセス全体を構築する。実証設備の完工後は、両社が共同で量産技術確立のための検討を進める。