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 日立金属は、金属付加製造(AM)装置(3Dプリンター)向けのマルチスケール統合シミュレーター「Additive Manufacturing Digital Twin」(以下、AM-DT)を開発した。シンガポールのA*STAR(科学技術研究庁)が設立した研究機関「Institute of High Performance Computing」(以下、IHPC)との共同開発。デジタルツインで金属積層造形を再現し、製品設計や造形方案開発、品質設計・評価をワンストップで実行できる(図1)。

図1 「Additive Manufacturing Digital Twin」による設計のイメージ
図1 「Additive Manufacturing Digital Twin」による設計のイメージ
(出所:日立金属)
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* 日立金属のニュースリリース: https://www.hitachi-metals.co.jp/press/pdf/2022/20221117jp.pdf

 AM-DTは、数μmの金属粉末から数十cmの部品までの幅広いスケールに対応する。 そのため、装置への金属粉末投入からレーザーなどによる局所溶融、急冷凝固、製品冷却に至る各プロセスの物理現象について、それぞれに合わせたスケールでのシミュレーションが可能という。

 空隙(くうげき)率や微細構造、機械的特性についての情報を生成する粉末・溶融金属のモデルを作成。造形時の温度履歴や造形品の材料組織・欠陥、機械的特性、造形後の変形・残留応力を予測する(図2~5)。造形品の全ての部位の特性を予測でき、より実体に近い評価が可能。輸送機器や機械設備、化学プラントなどで使う造形品については、アセンブリーコンポーネントで実施するデジタルツインにデータを提供できるとする。

図2 温度予測のイメージ
図2 温度予測のイメージ
(出所:日立金属)
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図3 材料組織・欠陥予測のイメージ
図3 材料組織・欠陥予測のイメージ
(出所:日立金属)
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図4 機械特性予測のイメージ
図4 機械特性予測のイメージ
(出所:日立金属)
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図5 変形・応力予測のイメージ
図5 変形・応力予測のイメージ
(出所:日立金属)
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 IHPCがカスタマイズしたコードを使用することで、 溶融・流動・凝固・伝熱・結晶成長・変形などのマルチフィジックス・プロセスに対応した。粉末床や粉末肉盛り造形(DED)、ワイヤ供給プロセスも解析できる。

 従来、金属積層造形品の機能を評価する手段は限られているため、設計に必要な情報が得られず、それが金属積層造形品の用途の拡大を妨げる要因になっていた。日立金属とIHPCは2018年、IHPCのシミュレーション・解析技術を応用して金属積層造形のデジタルツインを実現するためのプロジェクトを立ち上げ、開発に取り組んできた。AM-DTによって造形品を構成部品として設計段階から組み込めるようになるため、金属積層造形の普及が期待できるとしている。