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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2022年11月25日、JAXAが実施したストレス蓄積評価に関する研究において、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(医学系指針)」に対する不適合があったと発表した。存在しないデータをねつ造したり、データを改ざんしたりしていた。

 対象となったのは、2016年と2017年に実施した研究だ。宇宙居住環境を模擬した閉鎖環境に研究対象者を2週間滞在させ、複数の指標でストレス反応を測定。その結果を専門家による精神心理状態の評価と比較するものだ。

 この研究の中で幾つか医学系指針に対して不適合と判断された行為があった。例えば専門家による精神心理状態の評価において少なくとも5件あり、研究対象者との面談や面談の録画ビデオの確認を実施しなかったにもかかわらず評価をねつ造していた。理由を記載することなく個別評価を改ざんした箇所も多数あった。評価方法の科学的妥当性を確認しないまま研究を実施しただけでなく、研究ノートを作成していないなどデータ収集や管理の面でも不足があった。

 不適合があった研究には、古川聡宇宙飛行士が全体の実施責任者として携わっていた。直接の関与はないとされるが、管理監督責任があるとして処分の対象となった。JAXAは今回の原因究明と再発防止策に関する報告書を作成し、同日文部科学大臣と厚生労働大臣宛てに提出。「信頼性のあるデータが取得できず、研究成果も公表できない事態となり、国民の皆さまからの負託に応えることができなかった。研究対象者の善意を裏切る結果となってしまった。JAXAとして責任を持った研究遂行ができなかったことについて、深くおわび申し上げる」としている。