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 米国のヴァンダービルト大学とカリフォルニア大学バークレー校、テンプル大学、ラトガース大学カムデン校で構成するコンソーシアム「CIRCLES」は、日産自動車およびテネシー州運輸局と協力し、人工知能(AI)を組み込んだクルーズ・コントロール・システムを公道で実験したと発表した。

年間4億kmの車両軌跡データを収集するI-24 MOTION
年間4億kmの車両軌跡データを収集するI-24 MOTION
高解像度画像をソフトウエアで処理し、ディープラーニングで車両を識別して1秒当たり30を超える測定値で道路上の位置を特定する。(画像:I-24 MOTION)
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 コンソーシアムは2022年9月末に稼働したテストベッド「I-24 Mobility Technology Interstate Observation Network(I-24 MOTION)」を使った大規模実験を、2022年11月14~18日に実施した。I-24 MOTIONは、テネシー州ナッシュビル付近の州間高速道路24号線の約8kmに渡る区間に、約300個の超高解像度カメラを設置し、年間2億6000万マイル(約4億1843万km)の車両軌跡データを収集できるシステムである。自治体や自動車メーカーは、開発中の高度な交通管理システムと自動化された車両技術を実際の高速道路でテストでき、得られたデータを分析することで、交通の流れが個々の車両の挙動にどのように影響するかを明らかにできる。

 実験は、燃料消費を抑えつつ交通渋滞を緩和するように設計されたAIを搭載したクルーズ・コントロール・システムと、実験用の特別な装置を搭載した日産のSUV「Rogue」100台を使って実施した。事前に、試験場で行われた実験では、1台のスマート車両が交通渋滞を緩和し、大幅な燃料節約につながったという結果が得られている。

 今回は実際の公道での実証実験であり、1台のAI搭載車両が周囲の最大20台の車両の速度や運転行動に影響を与え、プラスの波及効果をもたらす可能性を探る。CIRCLESでは今後数カ月をかけて、AI搭載車のデータと交通の流れに与えた影響を分析する予定。

 CIRCLESの研究は、米運輸省やエネルギー省、全米科学財団のほか、トヨタ自動車や米General Motors(GM)からも支援を受けている。実験にはトヨタ「RAV4」と「Cadillac XT5」も使われたという。