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 物質・材料研究機構(NIMS)と明興双葉(東京・中央)は、世界最細となる直径15μmのMgB2(二ホウ化マグネシウム)超電導線を開発した。直径約300μmほどの小さな結び目を作れる柔軟性を持つ他、大きな特性劣化もないという。将来、この超電導線を使った超電導モーターの開発が進めば、液体水素を搭載した電動航空機などの実現可能性が高まる。

MgB<sub>2</sub>超電導線の結び目の電子顕微鏡写真
MgB2超電導線の結び目の電子顕微鏡写真
(出所:NEDO、NIMS、明興双葉)
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 今回、MgB2超電導線の製造に当たり、材料の粉末を金属管に充てんする従来の手法に加えて、ワイヤハーネスやボンディングワイヤなどに使われる伸線加工技術を用いた。その結果、従来は細くても直径50μmだった線径を、直径15μmまで極細化できた。曲げても折れにくい「可とう性」が向上し、銅線のように取り扱える。また、中心部にあたる超電導フィラメントの直径は5.5μmと極細となり、交流損失の一種であるヒステリシス損失を低減できた。

MgB<sub>2</sub>超電導線の断面
MgB2超電導線の断面
(出所:NEDO、NIMS、明興双葉)
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 カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー源として水素への注目が高まっている。貯蔵・運搬のために水素を-253℃の極低温で液化させると、常温に戻して利用する際に大気に放出される冷熱が無駄になるが、この冷熱の利用先候補の1つが超電導モーターだ。水素をエネルギー源だけでなく冷媒としても利用できれば、エネルギー効率を高められる。

 MgB2極細の超電導線は、そうした超電導モーターに使う材料として期待されている。実用化に向けては、コイルなどに巻くための耐曲げひずみ性の改善や、変動磁場による交流損失の低減が課題となっていた。

 なお、本超電導線の開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」の一環として行われた。