VR(仮想現実)関連サービスを提供するジョリーグッド(東京・中央)は、帝人ファーマ(東京・千代田)と共同開発中のうつ病向けデジタル治療VRの特定臨床研究を開始した。国立精神・神経医療研究センターと共同実施する。この臨床研究の結果を基に2025年以降に最終治験を始め、薬事承認の取得を目指す。
うつ病向けデジタル治療VRは認知行動療法で活用する。認知行動療法とは、思い込みといった患者の認知の偏りを修正することで症状を改善する精神療法の一種。ジョリーグッドによれば、VRを活用した認知行動療法を特定臨床研究として実施するのは今回が日本で初の事例になるという。
研究期間は2022年11月から2024年9月までで、対象とするのは薬物療法によって改善しない、あるいは薬物療法が適さない大うつ病性障害患者12人である。週1回のペースで計16回、デジタル治療VRを使った認知行動療法を実施し、経過を観察する。有効性と安全性が確認できた場合は、2025年以降に予定する最終治験へ進んで実用化を目指す考えだ。
認知行動療法は臨床での有用性が認められているものの、実施する際に医療従事者の時間的負担が大きいという課題があった。また、認知行動療法を提供する体制が整っていない地域もある。VRの活用で医療従事者の負荷を軽減し、認知行動療法によるうつ病治療の機会拡充に貢献する考えだ。