パナソニックの子会社パナソニック エナジーは2022年12月13日、米Lucid Group(ルシッドグループ)の電気自動車(EV)「Lucid Air」シリーズなどにリチウム(Li)イオン2次電池(LIB)を供給することでLucid Groupと合意したと発表した。

図1 パナソニックの車載向けLIB
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図1 パナソニックの車載向けLIB
左から18650型(または1865型)、2170型、4680型(出所:パナソニック エナジー)

 米Tesla(テスラ)にLIBを供給し始めたころはパナソニックが市場シェアで圧倒的な1位を占めていた。ところが、その後はLIBの提供先を増やしておらず、最近では世界4位にまで市場シェアが低下している。今回の合意で、市場シェアの低下にようやく歯止めがかかる可能性が出てきた。

 一番下のグレードのLucid Air Pureは価格が8万4700米ドルから、最上位グレードのLucid Air Grand Touringは同15万4000米ドルから、という高級EV。搭載する蓄電池は88k~118kWhで、Pureの航続距離はEPA(米国環境保護庁)基準で410マイル(約660km)である。充電時は900V超の電圧、または最大出力350kWの充電器を使うと、20分で300マイル(約483km)分を充電できるとする。

図2 米Lucid MotorsのLucid AirシリーズのEV
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図2 米Lucid MotorsのLucid AirシリーズのEV
(出所:Lucid Motors)

 Lucid Groupは「Lucid Airは空気力学的には世界一優れており、空気抵抗係数は0.197と低い」とする。電費はLucid Air Touringで、4.62マイル/kWh(7.43km/kWh)と比較的高い。

 特別仕様の「Lucid Air Dream Edition」は2021年秋に出荷を始めたが、基本モデルの同PureやTouringの出荷は2022年11月になってから。Lucid Groupは2023年には、Licid Airシリーズのフルラインアップの量産を始め、2024年には「Project Gravity SUV」の製造も開始するという。

 Lucid Groupに提供するLIBは、まずは日本国内で生産する。その後、パナソニック エナジーが2022年10月31日に米カンザス州デソト(De Soto)での建設決定を発表した新工場でも製造する。同工場の建設着工は2022年11月、量産開始は2024年度中になる。当初製造するのは2170型の円筒形LIB。工場の生産能力は年間30GWhだという。

図3 パナソニック エナジーの新工場のイメージ
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図3 パナソニック エナジーの新工場のイメージ
(出所:パナソニック)