NECは2022年12月15日、AI(人工知能)を活用して消費者の興味や関心などの情報を推定する「消費者属性拡張」技術を開発したと発表した。消費者の情報を十分に持たない場合でも、インターネット上の文書データや他社データから学習したAIが「顧客に似た人」の行動傾向に基づき自社の顧客の属性を推定する。同技術で企業のマーケティング活動の支援が可能になるという。
開発した技術では、「Aを買う人はBという観点をよく気にする」「Cが好きな人はDも好きなことが多い」といった消費者の傾向に関する情報を、インターネット上のニュース記事やレビューの文章などといった膨大なデータから、AIに「自己教師あり学習」と呼ばれるアルゴリズムを使い幅広く学習させる。
学習した行動傾向のモデルに、企業が保有する顧客の年齢、性別、居住地などの情報や心理的特性に関する情報を当てはめる。例えば、企業があらかじめ持っていた「顧客はAを買った」というデータから、次に「Aを買ったのだからBという観点を気にするはずだ」「Bという観点を持つのだからCも好きなはずだ」といった具合に「顧客に似た人」の行動傾向を基に、段階的に顧客の属性を推定できる。
他社の顧客データや専門家の知識を活用する場合は、事前にその顧客や当事者からデータ利用の同意を得て、匿名加工を施してから利用する。ネット通販において公開されているプロフィルや購入した商品などの情報から趣味嗜好を当てる評価実験では、7割の精度で推定することができた。NECは同技術の2022年度中の事業化を目指す。