危険を伴う作業や定型作業を減らし、宇宙飛行士の仕事をもっと高度で創造的にする。そんな目的で宇宙でもロボット活用が検討されている。エクサウィザーズは2023年1月16日、同社のAI(人工知能)技術が宇宙航空研究開発機構(JAXA)における有人宇宙拠点内クルー作業の自動化に向けた技術検討の対象に採用されたと発表した。
現在運用されている国際宇宙ステーション(ISS)で取り扱う物品の運搬作業には、視覚を代替するカメラや触覚を代替するセンサーなど様々な種類のデータを基に判断し複数のタスクをこなすマルチモーダルなAIに加えて、宇宙拠点に補給物資を送る際に使う物資輸送用バッグのファスナー開閉など不定形物の作業に対応できる模倣学習や予想学習技術が求められている。
模倣学習は、ある分野の専門家による実際のデータを教師データとしてAIに学習させる手法だ。予想学習は模倣学習の1つで、AIが対象物から得られる時系列データを学習に使う。AIを搭載したロボットがある行動をしたことで発生する数秒先の未来を予想しながら、学習に使った過去のデータと現実の違いが最小になるように行動してロボットを制御する。
エクサウィザーズは、画像データや現場機器の制御データなどを活用し、不定形物の作業を含む様々な作業を自動化するロボットAIサービス「exaBase ロボティクス」を提供してきた。
JAXAが「2022年度機械学習を活用したロボット操作の自律化検討・試作等」として一般公募した。物資輸送用バッグの操作について模倣学習や予想学習などを用いたソフトウエアの試作、および実機におけるデモンストレーションを実施する。通信遅延や様々なリソースの制約があり得る有人宇宙拠点への適用を想定し、ロボットによる操作作業の自律化を検討する。