ガラス基板の加工を主力事業とするNSC(大阪府豊中市)は、リチウムイオン2次電池などの材料となる黒鉛の高純度化事業に乗り出す(図12)。市場参入に向けて、黒鉛高純度化加工から排水処理までの量産ラインの立ち上げを計画している。環境付帯設備を受注したNECファシリティーズ(東京・港)が明らかにした。

図1 NSC本社の外観
図1 NSC本社の外観
(出所:NECファシリティーズ)
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図2 黒鉛高純度化加工のパイロットライン
図2 黒鉛高純度化加工のパイロットライン
(出所:NECファシリティーズ)
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* NECファシリティーズのニュースリリース: https://www.necf.jp/information/press/20230117.html

 NSCは、液晶ディスプレーなど向けにガラスを化学薬品で溶解して薄く・軽くする技術を持つ。ガラスと天然黒鉛の成分が似ていることから、この加工技術を黒鉛の高純度化加工に応用する研究を進めてきた。

 NECファシリティーズは、薬品供給設備や排水処理設備、廃棄処理設備などについて、設計と施工を受注した。全体最適の観点でこれらの付帯設備を構築し、安全性の担保と環境規制の順守を実現しながら高品質な加工品生産を支援するとしている。

 NECファシリティーズは、化学薬品による環境負荷を低減する付帯設備を半導体・電子部品工場などに供給しており、特に、フッ素とホウ素が混在する排水の処理に強みを持つ。NSCのガラス基板加工工場でも環境付帯設備を構築しており、高濃度のフッ酸の再利用と排水・排ガス処理に使われているという。