群馬大学やNTT東日本などは、医療インシデント(事故につながる事態)の削減に向けて、ローカル5G(第5世代移動通信システム)やロボット、AIを活用した実証実験を2023年1月30日から行う。同大医学部付属病院にローカル5G環境を構築し、病棟内を循環する自立走行型ロボットが撮影した画像を薬剤鑑別システムにリアルタイム伝送。患者が持参した薬や病院側で処方する薬の確認、患者の服薬確認などを、AIを使って速やかに行い、薬剤に関する医療インシデントの削減や医療事故リスクの低減を図る。
ニュースリリースユヤマ(大阪府豊中市)、ウルシステムズ(東京・中央)、PHC(東京・港)も参加する。期間は同年3月17日まで。実験では、最新のローカル5G技術である分散アンテナ技術を採用することで、カバレッジを広域化し、干渉影響を低減。多くの人や特殊機器が行き交い、遮蔽物が多く、電波干渉の可能性が高い医療現場でも、効率的・効果的なロボット運用が可能であることを実証する。
ロボットを安定制御・走行しながら、さまざまな種類の薬剤鑑別を行えるよう、上下2つのカメラから照明角度、露光時間を変えた複数枚の撮影画像を撮影し、ローカル5Gでリアルタイムに解析サーバへ伝送、AIで解析する取り組みも行う。
このほか、病院とかかりつけ薬局が情報連携し、退院後にも薬局で患者情報(既往歴やアレルギー歴)の参照、服薬確認などができる薬剤トレーサビリティーの仕組みも構築する。病院のDX化だけではなく、地域の関連施設間での情報連携による包括的なケアの実現をめざす。
実験では、群馬大学が実証環境の提供、課題実証の統括・推進を、NTT東日本がプロジェクト全体の統括・推進、ローカル5G/システム環境構築、技術実証の推進、ローカル5G免許申請を行う。ユヤマが薬剤識別システムの提供、ウルシステムズがAI/画像認識ソリューションの開発・提供、PHCが薬局向け院内カルテ参照・トレーシングレポート送信システムの提供、病院・院外薬局との情報連携をサポートする形で参加する。