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 日本マイクロソフトは2023年1月26日に記者会見を開き、モビリティー産業における米Microsoft(マイクロソフト)の取り組みを発表した。コネクテッドカー(つながる車)や自動運転をはじめ技術革新が進むモビリティー産業を、データを基にしたサービス開発ノウハウを生かして支援する。会見に登壇したマイクロソフトの江崎智行自動車・モビリティ産業担当ディレクターは「マイクロソフトにとって、パートナーとのエコシステムが(モビリティー事業における)生命線だ」と語った。

 マイクロソフトが注力する分野の1つが、車両販売後もOTA(Over the Air)によって車両に搭載したソフトウエアを追加・更新するソフトウエア定義車両(SDV:Software Defined Vehicle)の研究開発だ。トヨタ自動車などのメーカーや、メーカーと直接取引する一次下請け(Tier1)らが参画するワーキンググループにマイクロソフトも参画し、Tier1の商品開発を支援する基盤としてAzureを提供する。

 ワーキンググループはオープンソースで開発することを前提とし、必ずしもAzureを使う必要はない。それでも、開発したソフトウエアやシステムなどが商品化されれば、自社の環境をアップデートし続けるコストを考えてAzureを採用する企業が増えるとの算段だ。

 日本マイクロソフトはこのほか、ドイツMercedes Benz(メルセデス・ベンツ)が2022年10月に構築すると発表したデータプラットフォーム「MO360 Data Platform」の事例を紹介した。同プラットフォームをMicrosoft Cloudに接続し、全世界の乗用車工場約30拠点をクラウドつないでいる。メルセデス・ベンツはサプライチェーンの状態を可視化してリソースを効率的に振り分けるなどし、2025年までに生産効率が20%ほど向上するとみている。

 メタバースを活用する事例も生まれている。欧州Stellantis(ステランティス)のFIAT(フィアット)ブランドは顧客体験の向上を目指し、Azureを活用してメタバース空間上にバーチャルショールームを構築した。ショールームを訪れた利用客は自宅のリビングにいながらスタッフの説明を受けたり、車に試乗したりできるという。