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 米onsemi(オンセミ)は2023年1月26日、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)と電気自動車(EV)トラクションインバーター用のパワー半導体に関する戦略的契約を結んだと発表した。この契約の一環としてまずSiC(シリコンカーバイド)ファミリー「EliteSiC」の1200Vトラクションインバーターパワーモジュールが供給される予定で、現在その試作品の開発と評価を進めているという。

図1 EliteSiCの製品の一例
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図1 EliteSiCの製品の一例
(写真:onsemi)

 オンセミによると、今回の契約ではフォルクスワーゲンの各モデルのフロントとリアのトラクションインバーターが対象になる。両社のチームが1年以上にわたりパワーモジュールの最適化に取り組んできた。最初に供給する1200Vトラクションインバーターパワーモジュールは、ピン互換性があり、さまざまな出力レベルや多種類のモーターに容易に対応できるという。

 オンセミは同年1月6日にも韓国Kia Motors(起亜自動車)の新型EV「EV6 GT」にEliteSiCが採用されたことを明かすなど同事業が好調だ。需要に応えるべく投資も積極的で、2022年10~12月期の全社設備投資3億~3億3000万米ドルのうち、「大部分をSiC事業に投じる」(同社CEOのHassane El-Khoury氏)とした。2022年8月にはSiCブール(結晶の塊)の生産能力を5倍増加させる新棟を落成したことも発表している。