欧州で自動車の安全性能評価を手掛ける消費者団体、Euro NCAPは2023年1月25日、2022年を振り返った総括を発表した。Euro NCAPでは2022年に73車種の安全性能試験を実施した。そのうち67車種が新型車で、6車種が以前に試験したモデルの派生車だった。
新型車のうち、65車種は標準装備のみ、2車種は安全性能の向上が見込めるオプションを装備した状態で試験した。新型車はおおむね高いスコアを獲得した。65車種の標準装備車のうち、50車種が5つ星(全体の78%)、15台が4つ星(22%)となり、2021年にあった3つ星以下のモデルはなかった。
2022年は自動車業界にとって困難な1年となった。安全性能や環境性能の新しい基準やサイバーセキュリティー規制に対応するだけでなく、ウクライナ危機や英国のEU離脱による経済的影響、半導体を含む部品不足、労働力不足に関する課題にも取り組まなければならなかった。そのためEuro NCAPは、新しいプロトコルの導入を2023年まで遅らせることにしたという。
また、2022年は前年と同様に電気自動車(EV)が急速に拡大し続けた年となった。65台の新型車のうち34%に当たる22台がEVであり、「Best in Class 2022(クラス別最優秀車)」になった5車種のうち4車種がEVだった。また、EVの人気が高まったことで新たなブランドが欧州市場に参入した。2022年は7つのブランドが新規参入し、その内6つは中国ブランドだった。また、2車種の中国ブランドEVがBest in Classに選ばれ、「中国車は安全性が低い」というこれまでの認識が覆されたとする。
このほか、側面衝突で全席の乗員同士がぶつかるのを防ぐセンターエアバッグは、最近認識された新しい安全機能で、65車種の新型車のうち47車種(72%)が標準装備していた。ドライバー監視システムは、2022年に評価したほとんどのモデル(61車種、94%)に搭載されていた。そのうちの53車種は、ステアリングホイールの操作または車線内の位置を監視することでドライバーの眠気を監視している。そのほかの9車種はドライバーの視線追跡システムと他の監視方法を組み合わせた仕組みだった。