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 川崎重工は2023年1月27日、液化石油ガス(LPG)を燃料とする運搬船を日本郵船から受注したと発表した。同船は、低炭素なエネルギーとして活用されているLPGと、脱炭素向けの燃料として注目されているアンモニアを同時に積載できる。日本郵船とは1隻の造船契約を締結し、2026年に完成予定。

図 川崎重工が受注した燃料運搬船「86700m<sup>3</sup>型LPG燃料LPG/アンモニア運搬船」の完成イメージ
図 川崎重工が受注した燃料運搬船「86700m3型LPG燃料LPG/アンモニア運搬船」の完成イメージ
(出所:川崎重工)
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 同船は、LPGと低硫黄燃料油を燃料に使用することで、造船向けの2種類の環境規制に対応させた。1つは、SOx(硫黄酸化物)排出規制注1)で、LPGを燃料とすることで、燃料油を使用する場合と比べ、排ガス中のSOxや二酸化炭素(CO2)などの排出量を大幅に削減できる。もう1つは、CO2排出量規制のEEDI(Energy Efficiency Design Index)注2)である。大型のLPG運搬船やLNG(液化天然ガス)運搬船などの一部で、2022年度以降の契約船に対し基準値から30%のCO2削減が要求されており、同船もこれに適用させた。

注1)欧米の排出規制海域(ECA)では2015年1月から、燃料中の硫黄分0.1%以下のSOx排出量規制が実施されている。2020年1月からは、その他の世界の全海域を航行する船舶に対し、燃料中の硫黄分が0.5%以下の燃料を使用するか、排ガス中からのSOxを同等に低減する代替装置を使用することが義務付けられている。
注2)新造船向けの省エネ性能の規制値への適合を強制する国際規制。1トンの貨物を1マイル運ぶ際に排出するCO2のグラム数で定義するエネルギー効率設計指標(EEDI)を基にしている。