東京大学はデンソー、ブリヂストン、日本精工(NSK)、ロームと共同で道路から走行中の車両のタイヤに無線給電できるシステムを開発した。タイヤに組み込むコイルの配置を工夫することで、電力の伝送効率を高め、従来より大きな電力を送れるようになった。走行中の電気自動車(EV)への無線給電が実現すれば、航続距離を延長でき、搭載する電池容量は少なくて済む。
道路からタイヤへの無線給電システムでは磁界を使って電力を送るため、道路側の送電用コイルとホイールのハブに取り付けた受電用コイルの隙間を短くすることが重要である。今回のシステムでは、タイヤ内とホイール内のそれぞれに中継用コイルを組み込むことで、コイル間の距離を近くできるとする。
タイヤ内とホイール内の中継用コイルに給電し、中継用コイルから受電用コイルに非接触で電力を送る。2つの中継用コイルの間は有線で接続するため、金属製のホイールでも電力を送れる。受電用コイルと車体側の電池も有線で接続する。
今回のシステムは、東大と4社などが2019年に発表した、走行中に道路から無線給電できるインホイールモーター(IWM)の第3世代を基に開発した。東大と4社が2020年に設置した「社会連携講座」における取り組みである。同講座では今後、特にEVの駆動システムの研究に注力する予定という。