米Qualcomm(クアルコム)は2023年1月25日(現地時間)、5G-Advancedがモバイルブロードバンドやユーザー体験をどのように変えるのかを解説したブログを公開した。機械学習の活用や省電力技術強化、Sidelinkの適用拡大などにより、環境に配慮しながら、さらに高速大容量の通信や高いユーザー体験が可能になるとしている。
関連ブログ: How will 5G-Advanced deliver the next big boost to mobile broadband experiences?さらなる高速大容量化
5G-Advancedでは、サブ7GHzとミリ波でのさらなる周波数効率化を進める。MIMO(Multi Input Multi Output)の機能拡張による上りリンクと下りリンクの通信速度改善に加え、クロスノード機械学習を使ったCSF(Channel State Feedback、伝送路状態フィードバック)を焦点に、通信のオーバーヘッドを低減し、容量や通信速度を改善する取り組みを進める。容量強化と遅延時間低減については、特に上りリンクでの改善に向け、高度な全二重システムも進める。非アクティブモードでのマルチキャスト受信機能などによる効率化も行う。
カバレッジ拡張とモビリティー強化
5G-Advancedでは、MIMOやIAB(Integrated Access/Backhaul、無線アクセスネットワークと無線バックホールネットワークの統合)設計強化に加えて、通信認識機能やビームフォーミング機能を備えたスマートリピーターやmobile IABなどの新しいインフラも導入する。これまで5Gサービスが提供できなかった奥地の農村部にもカバレッジを拡張するために、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Networks、NTN)も継続強化する。また、L1/L2ベースのセル間モビリティーやCHO(Conditional Handover、条件付きハンドオーバー)を強化することで、セル間移動時にも、途切れのない通信を可能にするほか、特にミリ波で有効となる機械学習を使ったビーム管理も強化する。
エネルギー消費量削減
5G-Advancedでは、より環境に配慮したネットワークや機器類の提供も目指す。リリース18では、システムのエネルギー消費量を計測し、様々な省電力技術を評価するしくみを定義していく。非アクティブモード時の機器類のエネルギー消費量をさらに低減するWakeup signal設計を導入する取り組みも進行している。
新システムの導入
5G-Advancedでは、ユーザー体験のさらなる向上に向けたシステム導入も進めていく。リリース18では、ナビゲーションなどの用途向けに測距とポジショニングの精度を改善するほか、Sidelinkを位置情報や測距のみならず、データの効率的なオフロードやウエアラブル、XRグラスなどの端末類の接続にも活用していく。
リリース18の仕様策定は、2024年前半の完了を予定している。その次となるリリース19のプロジェクト内容も2023年末の具体化を目指している。