LIXILは東京ガスと共同で、アルミニウム(Al)形材のエージング処理に水素燃焼を用いる実証試験を実施した(図1)。水素燃料への転換に向けた製造技術検証の一環。2022年12月7日、LIXILの前橋工場において実際の製造工程で試験し、製品品質への影響がないことを確認したという。
* ニュースリリース: https://newsroom.lixil.com/hubfs/newsroom/PDF/JapanComms/20230125_HydrogenFuelConversion-1.pdf低温炉のAlエージング処理工程を対象に、水素燃焼が与える影響を検証した。将来、既存の工場設備で水素を扱うことを視野に入れ、前橋工場では実際のエージング処理工程で試験を実施した。
LIXILは、2050年までの長期目標として「事業活動と製品・サービスによる二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする」ことを掲げ、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用などに取り組んでいる。目標の達成には、金属材料の溶解工程やセラミックスの焼成工程で発生するCO2を削減する必要がある。そのため、水素への燃料転換やCO2の回収・有効利用(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)、その他の研究段階にある新技術について、2030年以降の実用化を目指して検討を進めている。
これまでに、建材を製造する際のAl溶解工程や、衛生陶器・タイルなどを製造する際のセラミックス焼成工程で使用する高温域(1000℃以上)の炉において水素燃焼試験を実施(図2)。水素が天然ガスと同様に使えることを確かめた。こうした製造プロセスにおける検証により、水素への燃料転換が「将来的な脱炭素に向けた取り組みの選択肢の1つになり得ることが示された」(LIXIL)とする。
併せて同社は、水素の調達に関連した技術の1つとして、Al形材の製造工程内で発生した副生水素を回収・利用する技術の開発も進めている(図3)。2022年8月には、東京ガスと共に小矢部工場(富山県小矢部市)のアルマイト処理工程で試験し、90%以上の効率で水素を回収できた。今後もさまざまなパートナー企業やステークホルダーと連携し、脱炭素製造技術の実用化に向けた検証を推進するという。