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 日産自動車は2023年2月2日、電気自動車(EV)の試作車「Max-out(マックスアウト)」を公開した。全固体電池の搭載を想定し、重心と全高を低減したのが特徴だ。マックスアウトは、同社が2021年11月に長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した際にバーチャル上で公開していたもの。今回はそれを実車として初披露した。

マックスアウト
マックスアウト
全固体電池の搭載を想定した試作車だ。(写真:日経Automotive)
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 マックスアウトは全固体電池の搭載を想定する。今日のリチウムイオン電池を搭載するEVは、体格が大きく、電池を床下に収めるとフロア高や全高が高くなる傾向がある。設計自由度が高く、小型化・薄型化しやすい全固体電池を採用すれば「より車高を下げることができる」(同社第二プロダクトデザイン部デザインマネージャーのユー・リーハオ氏)という。併せて、電池自体のエネルギー密度も向上する。

 同社は、2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを市場投入する計画だ。同電池の量産化に向けた試作ラインを2024年度までに横浜工場内に設置するとNissan Ambition 2030で明かしている。同社グローバルプロダクトマーケティング部理事(VP)のパンディクシラ・ポンズ氏は「全固体電池は将来の電動化の中核となる技術だ」と語る。

マックスアウトの室内
マックスアウトの室内
「全固体電池を採用すればフラットなフロアが可能となる」(ユー・リーハオ氏)という。(写真:日経Automotive)
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 外装デザインは、フロントグリルを中心にライトを多用することで先進性を表現した。これまでの日産車に採用してきたデザイン言語「Vモーション」をフロントグリル内のライトで表している。リアに配置したモニターには、車両情報などを表示することで、周囲の人や車とコミュニケーションをとれるという。

リアに配置したモニター
リアに配置したモニター
車両情報を表示できる。(写真:日経Automotive)
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 「マックスアウトの具体的な生産スケジュールは立てていない」とパンディクシラ・ポンズ氏は話す。その上で、今後様々な試作車を公開し、顧客の反応をみてどのようなモデルを市販化するか決めたいとした。