イスラエルの電池開発ベンチャーStoreDot(ストアドット)は2023年1月31日、サプライチェーンのトレーサビリティー技術を提供する英Circulor(サーキュラー)と提携したと発表した。両社は、持続可能で倫理的かつ責任ある調達を証明するため、電池セルの材料と電池セル生産工程におけるCO2排出量を追跡可能にする。
ストアドットは、電気自動車(EV)の航続距離の延長や充電時間の短縮を目指して、超高速充電技術を開発している。具体的な目標の1つは「2024年までに5分間の充電で100マイルを走行できるセル技術」の開発である。これに加えて、EV需要の拡大に合わせて製品の持続可能性向上にも力を注いでおり、サーキュラーと協力することで透明性のある電池サプライチェーンの構築を図る計画だ。自動車メーカーに対して電池の完全なトレーサビリティーを提供し、各種の規制クリアを支援する。
両社のコラボレーションはすでに始まっている。ストアドットはサーキュラーのトレーサビリティー技術を導入し、材料調達の上流に当たる材料生産時のCO2排出量を追跡調査している。こうした情報はストアドット製品の透明性を高めるほか、環境、社会、ガバナンス(ESG)の各種取り組みに関して情報を必要としている自動車メーカーや規制当局に提供される。
サーキュラーは、ドイツ政府の「電池パス(Battery Pass)プロジェクト」のコンソーシアムメンバーであり、ストアドットも準メンバーとして参加している。EUの次期電池規制では、電池生産におけるCO2排出量、倫理的な生産基準への準拠、リサイクル可能な素材の採用などを明確に示した「電池パスポート」の発行が義務付けられる。電池パスプロジェクトはドイツ政府が資金提供する3年間の研究開発計画で、「電池パスポート」のためのコアデータ仕様と技術標準を開発する。